キーボード、ベース兼任のギター、ドラムスの３人組。アメリカらしい陽性メロディと平易な曲構成にシンフォニックなシンセが鳴り響く。シンフォニックと言えども曲想は７０年代を基点としない、いわゆるネオ・プログレ以降の流れを感じさせるもの。演奏のタッチはプログレ・ハード風の曲が大部分。インスト曲が約半数を占める。ヴォーカル曲はプログレ・ハード調のわかりやすいメロディが多く、インスト曲はジャズロックにも通じるような演奏主体の凝った曲構成。どちらも出来がいいです。
ギタリストが兼任しているヴォーカルはJohn Wettonを若々しくしたような、太く張りのある声。キーボードは明らかにKeith Emersonの影響を受けていると感じられる演奏です。しかし、この構成といい音の雰囲気といい、ELPではなく、EmersonとPalmerがRobert Perryと組んだ3に近いな。クラシカルな雰囲気を排し、ムーグを封印してデジタル系のモダンなシンセを弾いていた頃・・あれを想像してください。曲もアメリカらしいポップ調だし。６曲目Pierce The Hideはメロディが印象的で、一度聴いたら忘れないくらい。ムーディな演奏バックに朗々と歌い上げるヴォーカルの８曲目In A Safe Placeも良いです。
一方、ジャズロック的な部分もあって３曲目Moonus Starusは８０年代にソロで活動していた頃のEmersonがフュージョンやっているような感じ。７曲目Smoothはギターが中心で、Steve Morseのような軽やか且つハードなテクニカル・フュージョン。バックを担当するピアノもカッコいいのだ。途中でジャズィなソロがでてくる部分が気に入ってる。たまたまライヴ録りのような音になっているのもいい。
全くと言っていいほど話題になってないようだけど、これ、なかなかの力作。ネオ・プログレ系シンフォから、プログレ・ハード、さらにはテクニカル・フュージョンまで聴けてしまうお得な１枚(笑) アメリカらしいスケールのデカい音像も魅力的です。
コネチカットの息の長い現役バンド。５枚目。鍵盤中心のポップなシンフォニックをやってきたわけで、このバンドを聞くのは１５年ぶりくらいになるんだけど、ELPをシンプルにしたクセのある歌モノなのは全然変わってない。