スペインの大所帯バンド。なんせメンバーが８人もいるのだ。ギターが２人いるのはいいとして、ボーカル、キーボードも２人づつ。それでいて演奏がうまくまとまってる。音がだぶついていないんですよ。もちろん厚みのある音なんですが、同時にキビキビとした演奏であることに好感が持てます。多面的に曲を作り上げていく術を持ってるんでしょうね、広がり感があるんですよ。そしてそれが躍動感、飛翔感にもつながってる。だいたい音を重ねていくのは人数多い少ない関係ないですから。それよりも、アイデア生産とそれを加工する能力も８人分ということなんでしょうね。求心力を保っていることに感心しました。
どの曲もクオリティ高いです。音の厚みがあって、曲展開はスリリング。シンフォ・メタルとしては一級品です。これだけのモノとなると・・おそらくANGRAに匹敵する出来栄えかと。厚みのあるシンセと男女ボーカルが作り上げるコーラスワークは室内楽に通じる荘厳な音圧。リズム隊は時に変拍子も交えながら、緊張感と躍動感を刻み付けていきます。キーボードのソロ・パートはプログレファン好みの旋律。そして抑揚のあるメロディを歌い上げるボーカルは男女ともに存在感があります。硬質で朗々とした男性ボーカル、丸みのある声で情感豊かに歌い上げる女性ボーカル。
キャッチーでドラマチックな５曲目Infinityがベストかな。初期AYREONのようなハード＆スリリングな３曲目Ridibg Aloneも秀逸。
神話の世界に迷い込んだような６曲目Keltiaでの勇壮な歌唱もすばらしいです。DREAM THEATERばりの１２曲目Somewhere In The Pastは高性能プログレ・メタルです。
プログレ側の人間からすると、部分部分でプログレってとこでしょうか。しかし楽曲の質がすごく高い。プログレ・ファンが辟易するような重苦しさは微塵もありません。躍動的でまろやかなサウンド、適度にハード。ゴシックからＡＯＲまでの懐の深さを見せつつ、どの曲もかなりの水準です。もっと作品発表してほしい。今後も要チェックですね。