フルート、リコーダ、アコースティックギター、ピアノなどなどアコースティック楽器をふんだんに使ったフォーク系シンフォニックサウンド。コーラスを多用し歌を聴かせようとしているのが特徴。曲は概して牧歌調で、初期GENESISやDRUIDに似ているがちょっとイタリアっぽさを加えたような感じが特徴かな。そういう意味では往年期のANGEにも似ているかもしれない。けれど、アコースティックでフォーク系シンフォをこれほど極めたバンドは他にいないんじゃないだろうか。２曲目のPrimavera De Una Esquinaは冒頭、ピアノとフルートにゆっくりとしたヴォーカルが絡むなんとものんびりした曲。だけど、途中からムーグとベースが入ってきて荘厳に盛り上がっていくあたりは、YESやDRUIDあたりを髣髴とさせる。
６曲目Mi Amor Y Yo Contra TOdos Los Que Rayenninntaiは実に優しいメロディ。シンフォをフォークのベクトルに向かって、純化し尽くしたような音。
イタリアのバンドを聴いていると、この手のシンフォ作品ってバンド全員が同じ世界にのめりこみ過ぎて、のっぺりとした音像になりがち。だけど、このバンドは楽器のパートパートがちゃんと自立していて、個々が成熟したフレーズを奏でている。そのため、結果として曲の構成に奥行きが生まれている。ベースラインひとつとっても実に聴き応えがある。
牧歌調のメロディにほのぼのコーラス。穏やかにゆっくりと天空から舞い降りるようなシンフォサウンド。アコースティックの程よい透明感と優しさは、聴き手を心地よい空間に運んでくれる・・が、アルバム１枚聴くとさすがに辛気臭い気もするけど。