カナダの鍵盤奏者で歌も歌う。既に何枚かのアルバムを出しているようです。主に鍵盤類を重ね、ドラムとボーカル／コーラスまで自身でやっています。重ねた音にはかなりの厚みが感じられ、明るめの音色と合わせて独特の質感になっています。旋律は明るく、親しみやすい曲が多いです。しっとりした雰囲気と開放感が特徴です。フックになるフレーズをあざとくならない程度にそっと持ち込むのが巧いです。ポップセンスと曲の質感はTony Banksの歌ものソロに近いように思いました。そうそう、この品の良さはMike Oldfieldの歌ものアルバムにも似ています。CrisesとかEarth Movingとか。GLASS HAMMERにも似ています。シンフォニックに分類されるのでしょうが、さりげなくプログレという程度。敢えて言うなら"シンフォ・ポップ"と呼ぶのが良いでしょう。
ベストは上述の特徴がよく出ている１曲目Spinning Wheelsです。重ねたピアノの幽玄な響きと伸びやかな旋律にRENAISSANCEの奥行きを感じる２曲目A Thousand Years、優美なポップセンスと開放感のある響きがAlan Parsonsを思わせる４曲目Stainless Skies、哀愁の旋律と広がり感あるサウンドにMike Oldfieldを感じる５曲目Where I Came From、IQタイプの哀愁シンフォ７曲目Reflections in the Lake哀愁と安堵感が交錯します。
悲しげなオルガンが沁みる８曲目Everything to Lose。そしてラストの９曲目Further Outは印象的なフレーズ満載の組曲です。IQの物悲しさとGENESISのスリリングなリズム・・・女性コーラスを交え初期YESのようにスペイシーに盛り上がっていく終盤も聴きものです。
ポップなんですがYES／GENESIS型シンフォに通じる部分も。とにかくシンフォが好きな人のツボは押さえています。今まで知りませんでしたが、これは他作品も是非聴きたいところ。