これいいですね。オルガン中心のメロディック・シンフォです。全曲インスト。オルガンはスローなKeith Emersonという感じ。手癖が似てるんですよ。曲によってはTony Kayeを感じさせるところも。オルガン、ムーグ、あとはなんでしょうね・・アナログ風の音色を重ね、品の良いシンフォニックになっています。「品の良い」と言ったのは、全体の旋律が整然としていて分かりやすいこと、そしてどのフレーズを切り取っても印象的であることです。古き良き英国ロックを引き継いでいるのですよ。ELPやYES、さらに７０年代のブリティッシュや白人ブルーズを連想させます。
でも古臭くはないのですよ。単なる懐古趣味だけでなく、打ち込みのエレクトリック／チルアウトの曲もあります。これはこれでなかなかいいんですが。よく聞くとアンビエントやチルアウトっぽい音もそれとなく入っているのでした。つまい、７０年代シンフォをさりげなく今似合うように調整しているようです。どこがどうとか上手くいえないけどｗ）
１曲目 Clover Rd ABC
冒頭と終盤は、まるでYESの初期の名演WurmをFINCHがカバーしたみたいなゆったりシンフォ。漂うようなオルガンが味わい深いです。中間部が一転してスリリング。５拍子の演奏にオルガンがかっこよく響き渡ります。
２曲目 Devonshire Crescent
ELPを７０％のスピードで再生したようなゆったり感。Emerson風のオルガンを楽しめます。
３曲目 Combination Head
これはスリリング。日本のプログレ・フュージョンに似た感じですね。ギターがかっこいいソロを弾いています。終盤に出てくるオルガン・ソロが白熱していて、これまたいいんですよ。
４曲目 Blue Waters
ピアノの小品。クラシカルな曲調です。
５曲目 The Bonk
チルアウト系打ち込みサウンドの上にEmrson風オルガンが乗っている変わった音。でもエレクトリックな雰囲気は微塵もなく、英国オルガンロックの気品を損なわぬまま、今風にうまく直してます。こういうのもありなんですね。
６曲目 Clover Rd DEF
これまたKeith Emersonを強く連想させるオルガンです。シンフォあり、テクニカル・フュージョンありで、ちょっとした組曲になってます。ドラマチック。いいですね、この曲。
７曲目 Fourteen
いきなりのチルアウト。ELPの焼き増しじゃないよ、エレクトリック側からシンフォをリニューアルしてるんだよ、というタネ明かしでしょうか。打ち込みバンバン入ってるんですが妙に落ち着くサウンド。それまでの曲と違和感がないのですよ。
８曲目 For WhatPaul Birchall
ギターをメインにしたシンプルなフュージョンです。もちろん、キーボード・ソロもかっこいい。
シンフォニックとしての濃度は低いので物足りない人はいると思います。しかし、それをカバーして余りある英国フレーズ。そして重厚なオルガンが聴けるで私はかなり満足してます。
Keith Emersonそっくりのオルガン／ムーグが牽引するかっこいいシンフォニック。ELPからEmersonだけをクローズアップして、しなやかにしたような感じ。曲がいいですね。ＡＯＲやフュージョンのように洗練されてます。ELPがフュージョンやったらこんな感じか。