イタリアから変わりダネのバンド。初期YESつまりPeter Banks在籍時のYESに曲調も演奏もよく似たサウンド。もちろんFLASHにも似てるわけですが。ゆったりしたFLASHという感じかな。９０年代半ばの作品とは思えない音です。特にギターの音色が７０年代初頭のもので、実に懐かしい。かといって別に懐メロ風ばかりではありません。当時のスタイルを切り取ってきたわけではありますが、よく聴くと曲構成は結構複雑。ジャズの素養も感じます。フレーズも工夫されており知的です。そう聞こえてこないところがいいわけですが。
演奏はうまいです。鍵盤は主にオルガン。Tony Kayeのような７０年代のあの音です。アートロックを思わせる瞬間も。
秀逸なのは２曲目Only Dreamingです。牧歌調フォークと６０年代末期のロックを織り交ぜながら、やがてスピード感を増していく構成はFLASHの生まれ変わりのようです。
他には変拍子を交えた４曲目Time Together、複雑な小技がそっと配されている５曲目Don't Cry No Moreもいいですね。
立ち位置としては面白いバンドだったのですが、結局この１枚だけだったようです。