７０年代末に突如としてスイスから現れ、たった１作で消えてしまった幻のシンフォ・バンドDRAGONFLY。その唯一の作品がこれ。すべてのシンフォ・ファンに聴いていただきたい作品です。ポップ色の強い旧Ａ面とシンフォ大作１曲を収録した旧Ｂ面から構成されます。旧Ａ面には短い曲が並び、ELPやPFMをポップにした感じ。一方、旧Ｂ面をフルに使った大曲DragonflyはYES風シンフォ。Chris Squire風ゴリゴリ・ベース、ピアノを上手く使った品の良さは特筆ものです。起伏に富み完成度も高く、YESファンをうならせること間違いなしかと思います。
１曲目 Behind The Spider's Web
畳み掛けるような展開が印象的なポップな作品。ヒネたメロディは一度聴いたら強烈に残ります。
２曲目 Shellycoat
Keith Emersonライクなオルガンを中心とするインスト。明るくコミカルなメロディ・・だけどその表情はクルクルと変化。凝ったメロディラインがいいです。ギターソロが入り、演奏の厚味が増してくるところが最高。
３曲目 You Know My Ways (I Belong To You)
まず冒頭の優美なピアノが印象的。そして陰と陽の境目をふらふらとあるくような、微妙なメロディ・ラインが良いです。４分足らずの小品だが、シンフォニックな優しさに包まれる至福の時間。
４曲目 Willing And Ready To Face It All
Emersonライクなオルガンをフィーチャー。一見、ロックンロール風ですが、リズム隊の複雑な演奏や、一風変ったギターソロなど聴きどころは満載です。
５曲目 Dragonfly
「ドラゴンフライ組曲」と呼ばれている名曲です。美しいピアノを中心に展開されます。ニューエイジ風のピアノで始まる冒頭、そして穏やかなヴォーカルとアコースティック・ギターによる牧歌調シンフォへ。とりわけ２分３０秒あたりからのメロディがすばらしい。そしてここからの怒涛のシンフォ展開へ・・まるで全盛期のYESのようです。中間部に配したピアノソロの美しい旋律はRick Wakemanのソロ作品に匹敵。その後のギターが主導するパートではYESのようなインストパートへ突入、ここでリズム隊が驚異的なプレイを聞かせてくれます。その後、１３分過ぎから再び琴線メロに戻り、絵に描いたような美しいシンフォへ、そして感動的なフィナーレを迎えます。
何度か再発されているようですが、９５年にMUSEAから再発されたＣＤには２曲のボーナスがついているのでオススメ。アルバムDrgonflyがリリースされた後にレコーディングされたものらしいです。
レビューによってはELPライクと紹介されているようですが、うーん・・・個人的にはむしろ７０年代YESかと。かの大作に匹敵するんじゃないかと思ってます。傑作です。でも、こういうバンドって１作で終わっちゃうのねえ（涙）