元ELOYの鍵盤奏者によるプロジェクト。シンセの比重が高いメロディック・ハードです。メンバーはキーボード ＋ ボーカル ＋ ギターの三人。ELOYの近作に似ていますがもっと明快でシンプルな印象です。ドイツらしく分かりやすくて叙情的なメロディ。ヴォーカルはZENOで歌っていた人ですがZENOの時のような高音ではありません。ギター（元ACCEPT）も時折聴かれるソロは素晴らしいのですがどうもあまり目立たない。おそらくキーボードを前面に出すため控えめにしたのでしょうが、これはもったいないな。逆にシンセの音が強すぎる。デジタルなイメージにしたっかたのかもしれないけど、音色が古すぎて安っぽい感じがする。ドラムも打ち込みが多く音色に配慮が無いので減点。
曲のイントロにはシンフォニックな重厚キーボードが聴かれるし、ＳＥを駆使しています。が、曲そのものは実にシンプル。ＡＯＲの傾向が強いですね。こういうアルバムが大好きな人もHR/HMファンには多いでしょうけど、プログレファンには不向きかな。
それでも、いくつかの曲はなかなかよかった。SEを多用し印象的なピアノとギターの掛け合いが良い"River Of Life"、シンプルだがAORの良作"Wheel Of Fate"、アメリカのB級メロディック・ハードの連中がやりそうな"Change"、"Push And Desire"は、まあその手の音が好きな人向けだけど・・
シンフォニックなKeyソロを冒頭に持ってきた"Marching In Time"は80年代アメリカン・プログレ・ハードを彷彿とさせる。途中のKeyとGのソロがかっこいい。しかし、ソロが短すぎるぞ。がっかり。こういうのをもっと長くしてくれないと。続いて"Never Be Near"では80年代の全米チャートに登場しそうなノリのいいメロディにピアノやヴァイオリン（ちょっとだけだけど）が載ったりしてなかなか楽しい。そしてラストの"Too Bad"はファンクっぽいリズムとコーラスにいやーな予感がするが（笑）ブルージィなsaxが効果的に使われ、イントロとエンディングがちょっとシンフォニック。
アルバム全体的には色合いが違っていて良い。前半のだるい展開を後半が挽回した感じ。でも、凄く分かり易い分飽きやすい。