英国シンフォ史、幻のバンド。でも０６年に再結成し来日もしましたが。よくYES ＋ GENESISと例えられますが、まさにぴったり。シンフォの傑作です。発掘モノのシンフォニックの中では間違いなく最高傑作だと思います。キーボードはメロトロンとピアノを多用し、これぞ古き善きシンフォ。ベースはChris Squire的なプレイが随所に聴かれます。ヴォーカルはちょっと線が細いんだけど、これがまたはかない感じで演奏にピッタリ。
１曲目 Midnight Madness
くぐもった湿っぽいシンフォニックな音色で静かに曲が始まる・・いきなりメロトロン大活躍。歌が始まるまでの最初の１分半でノックアウトの人は多いでしょう。歌部分が始まると途端にドラマチックな展開になって曲の最後まで突っ走ります。変拍子を絡めながら、琴線に触れる明るいメロディ＆コーラス。この辺の展開はGENESIS的ともYES的とも言えるんだけど、そういった大物に肩を並べるような名曲です。
２曲目 All Alone〜
小品。叙情的なピアノによる弾き語り。次の曲に繋がっています。
３曲目 Three Piece Suite
何度もメロディを変えていきながら曲が展開。メロディの美しさ、構成、文句のつけようが無い。もう美しい旋律の洪水です。この曲もシンフォニックの名曲。この部分がいい、と切り出して説明するのがためらわれるくらい最初から最後まで隙が無い。もう全部良い（笑）
アコースティックな展開あり、Steve Hackett風のソロあり、And You And I時代のYES的な展開もあり・・と実に贅沢。
曲の雰囲気は強くYESを想起させますが、音色の質感は初期のGENESISが持つ「懐かしさ」みたいなものに近い。このバランスがいいんだよね。ジャケットのアートワークも含めて受ける印象からは、まさに「美しい骨董品」というイメージ・・・・確かに、レコードが高価で扱われたのもわかるような気がします。
４曲目 Paraffinalea
前半はJon Andersonが歌いそうなメロディ。演奏はGENESISに近いかな。なんでこんなに魅力的なメロディが次々と書けるんだ・・ヘヴィなメロトロンの懐かしい響きが活躍。短いがギター・ソロも素晴らしい。終盤はテンションがどんどんあがっていく･･凄い。それにしても、４分ちょっとの曲にこれだけの要素を詰め込むなんて。
５曲目 Yellow
アコースティックギターとコーラスを中心にする牧歌調の静かな曲。ここでもメロトロンがバッキングで入っています。2分40秒から重なるエレクトリック・ギターがSteve Howeがやるようなヴァイオリン奏法。ここでは控えめなピアノだが、要所で美しい旋律を奏でている。ある意味、この曲が最もYES的。
６曲目 Poisoned Youth
１６分以上の大作。KING CRIMSON＋YESという感じかな。旧Ａとは別の意味で英国らしいシンフォだとおもうが、イタリアのシンフォにもこういうの有りそう。
７０年代の英国のプログレを凝縮したような素晴らしい内容。密度が濃いので、聴くたびに発見があります。
かつてはそのビニール盤が高価で扱われていたそうです。僕の持っているのはEDISONレーベルから出ていた、悪名高い「盤落し」されたもの（ビニール盤をそのままＣＤ化）。今はきちんとマスターから起こしたものが再発されました。
未発表音源をＣＤ化したもの。１曲目こそ前作Garden Shedの冒頭を思い出しますが、よりヘヴィでモダンな感じ。重厚な音作りやメリハリの利いたベースの音など、古ぼけた印象の前作とはまるで力強さが違う。正直戸惑うくらい。もっとしょぼい音を連想してのに・・・ さらに力強くなっていたのには正直驚き。