イタリアン・シンフォを受け継ぐプログレ・メタル
Prog Metalの宝庫イタリア。そのなかでも最もシンフォ色が強いのがこのバンド。アコースティックも取り入れ、プログレ・ファンにアピールすること十分の作風です。個人的な印象では＜PFM系シンフォ＋変拍子メタル＞です。さすがイタリア、PFMから綿々と続くシンフォを、メタルバンドですら受け継いでいるわけねえ。
オープニングからして実にクラシカル。曲の展開がクルクルと変わる猫目サウンド。最初は雑然とした印象だったけど聴き込めばこれがなかなか良いのです。曲展開の複雑さもプログレ・ファン好みかと思います。ジャケやインナーのアートワークも秀逸です。
これが３枚目。最初聴いて耳を疑いましたねー ハード、そして流れるようなノリの良いギターサウンドです。それまでの大仰なシンフォ・メタルからギターを中心とした展開の速いサウンドに変貌。
キーボードが交代して、ギタリスト（ヴォーカルも兼任）が主導権を握った模様。しかしこのギタリスト、ハード一辺倒ではなくかなり多彩な技の持ち主。メタル的奏法だけでなく、アコースティック、メロディック・ハード、７０年代ロック風、フュージョン、KING CRIMSONぽい奏法までとかなり面白い。イタリアのプログレ・メタルでここまでやっているのもちょっといないですね。
以前のダラダラとした印象が一変です。メロディも本作のほうが断然魅力的。展開が速くて短い曲をたくさん並べてます。ただし、そのうちの１曲は１８分にも及ぶシンフォニックな大作に。
１曲目 Color Of The New World
弾けるように曲が始まる。ハードなロックンロールのように、ノリの良いリズムと爆音ギターを中心とした展開。しかし決して単調ではない。ギターの音色はどんどんその表情を変えていく。
４曲目 Searchin'
フュージョン風で広がりのあるギターが特徴。海の底から聴こえてくるかのような深みのある演奏も素晴らしい。長めのインスト部分はかなり秀逸。フランスのフュージョン系のシンフォバンドのようです。新機軸ですね。
５曲目 Starship
７０年代風の懐かしい音像に印象的なメロディ。ゆっくりと優美に舞うギターがいい。
メタルからシンフォから、もう、いいとこどり状態。これでヴォーカルが良かったら言うこと無しだけど。イタリアのバンドとしては古株になる彼ら、この作品で一気にシーンの最前線に踊り出たような感じ。力作です。