Hugh Ferguson

The Jungle

ホールズワースやスコット・ヘンダーソン似　プログレ・ファン向きのギター・フュージョン

　ロス周辺で活動するギタリスト。もちろん自主制作。MAHAVISHNU系やChic Coreaに傾倒していたらしい。なるほど、そういう音です。
　音のほうはギター・フュージョン。メロディアスでスリリング。演奏は洗練されていて、この手の自主制作にありがちな野暮ったさは皆無。演奏はテクニカル志向ですが難解ではありません。
　プログレ・ファンにもファンの多いAllan HoldsworthやScott Hendersonに通じる演奏です。

　ハード＆パワフルな１曲目Booga Booga Boogieは、Scott Henderson風のフュージョンにハードロックを混ぜたような曲。１曲目にはぴったりです。
　２曲目Savannahはメロディアスなフュージョン。自主制作と思えぬ品の良さです。ギターを盛り立てる鍵盤、リズム隊も実に軽やか。どこに出しても恥ずかしくない都会派フュージョンです。
　４曲目Rio Calienteはラテンの陽気さと哀愁を従えて、ギターが品良くうねります。ギターはAllan Holdsworth風です。
　５曲目Lost Sunsetはゆったり＆しんみりのギター。フュージョンにＡＯＲを加えたようで素敵です。
　６曲目Ultimate Fighterは、一転してタテノリ＆スピーディな曲・・と思ったら複雑な拍子も入りプログレ度が高いです。CASSIOPEAのような日本のフュージョンに近い音。きびきびとした曲展開がいいですね。
　７曲目The Jungleはファンキーなフュージョンですが、ちょっと遅めのテンポにして、ギターのフレーズをいっぱい詰め込んでいます。難易度高め、ウネりの多いソロです。HoldsworthとAndy Summersの中間を行くような感じ。プログレッシブです。

　いいですねぇ。これ、かなり気に入っております。録音もジャケットもいかにも自主制作っぽいんですが、そこにこんないい作品があるなんて。恐るべし、ＵＳの自主制作フュージョン。
　私は目白のワールドディスクで購入しましたが（中島店長の強いオススメ）、CD BABYでも売られています。本人サイトにも入手方法の告知があるようです。

Hugh Ferguson / CD BABY ('02)

A.D.D.

ホールズワース・タイプ　曲構成の巧みさに脱帽

　無名のギター名手、２枚目。同じく自主制作で作った１枚目同様、CD Babyでは大人気のようです。１枚目を聴く限りはオリジナリティはさておき、いろんなスタイルを持ったテクニシャンだと思いました。が、今回はスタイルをAllan Holdsworth系に絞ってきました。

　というわけで本サイト、何十人目かのホールズワースそっくりさん登場であります。いやー　こういうの弱いなあ、おれ。

１曲目 300 Miles
　冒頭からしてAllan Holdsworth。ははは。思わず笑えるくらい、かなり似てます。でも演奏はなかなかのもの。技巧もさることながら、細やかなメロディラインがすばらしい。

３曲目 Time To Change
　そっと舞い降りてくるような軟らかなギターの音色。うーん、気持ちええなあ・・流麗なままドラマチックになっていきます。とりわけ中間部分は、アルバムで最も好きな部分です。

４曲目 Spiders II
　前作に収録されていた曲なんですが、ご丁寧にHoldsworth流儀に弾き直していただきました。ありがとうございました。

６曲目 Total Distraction
　お、この旋律も何か訴えかけるものが。演奏だけでなく、作曲にも非凡なものがありますね、この方。やはり、メロディラインは大切です。そのうえ、Holdsworthをなぞりながらもドラマチックにフレーズを積み上げていくのが本当にうまい。出だしと１分後、２分後の雰囲気が全然違うんですよ。それでいて、曲としてまとまっていて、聞き手をきっちり感動させる技。恐れ入りました。

８曲目 Eyes Of November
　例えて言えば、Holdsworthがニューヨークの洗練されたフュージョンをやっているような感じ（いえ、決してホールズワース先生が洗練されてないわけではないのですが・・）　リズム隊も非凡。知的で複雑なリズムが次々繰り出され、それを軽やかに滑っていくギター・・プログレ・フュージョンのファンは必聴です。

１０曲目 Pneuma
　これはAllan Holdsworth純正に近い音。耳に優しくえも言えぬくらい心地よいフュージョンであります。それにしても、本人以上に本人らしいギターです。なんのこっちゃとお思いでしょうが、ご本家はあまりこの手の柔らかいフュージョンはされませんもんですから。私としてはHoldsworthにこういうのやってほしいと思ってますので、大満足であります。

１１曲目 Off The Cliff
　一転してスリリングな展開。ポリリズム気味の複雑リズムをひょいひょいとかわす、身の軽いギター。

１２曲目 New Day
　・・言いたいことはもう全部上に書きました。でも、この曲もいいです。美しくうねりまくり。

１３曲目 Hot Line
　変拍子を効果的に使いながらも、物腰やわらか、しなやかギター・・・場面が何度も変わり、ハードあり、スウィープありと翻弄されまくります。中間のベースソロも、終盤のドラム・プレイも極上です。アルバム終焉が近づき、演奏とともに天に昇っていくような気持ちになります。まさに天上の音楽です。たぶん、最後は足が数センチは浮いていたと思います。

　いやー、いいもん聴いたな、というのが感想。しなやかなメロディ、知的な曲展開。Holdsworthファンには是非是非聴いていただきたい。気持ちよくてスリリングなフュージョンが好きな人にもお勧めです。聞いて納得、間違いなし、であります。
　・・しばらくヘビーローテーションですわ・・

none ('05)