NARNIAのChristian Rivel（ボーカル）とLinus Kase（キーボード）が結成。聴いてのけぞりそうになりました。これがまったくのKANSASフォロワーです。しかもなんとKerry Livgrenがゲスト参加！KANSAS独特のうらぶれた哀愁サウンドこそないものの、黄金期のKANSAS・・特にシンフォニックな部分を丁寧になぞるようなつくり。ヴァイオリンも擁し実にこれKASASライクなつくりです。
メロディやちょっとした音の端々にKANSASへ畏敬の念が感じられると同時に、メタル気質も顔を出します。コーラスがQUEENっぽいのは面白い。意外とKANSASサウンドに合いますね。ただ、ソツ無く出来ていますがこじんまりまとまっているかなと。サプライズがありませんね。もちろんKerry Livgren参加はサプライズでしたが・・ま、あくまでサウンドの意外性という意味で。
NARNIAはパワー・メタルバンド、しかもクリスチャン・メタル寄りの作風らしいのですが、クリスチャン系であるKerry Livgrenの接点はやはり宗派がらみ？
１曲目 Heart Is The Centerは冒頭からKANSASです。正確に言えば、抑揚のつけ方や曲構成がKANSAS、ヴァイオリンのフレーズもかなりまねてます。一方、ギターやキーボードは違いますね。今風の音色にフレーズ。このバランス感覚はいいと思います。まるっきりコピーでないのがいいです。
２曲目から４曲目はKANSASに近いものの、QUEENやSTYXも髣髴とさせる曲が続きます。悪くは無いけど、曲の奥行きが足りないような。あ、KANSASを求めてしまいました・・
５曲目Windy Cityは冒頭に変拍子が入りテンションの高いパートがあります。歌パートはKANSASとQUEENを足してまったりしたよう雰囲気。後半にはインスト・パートがあって、７０年代のKANSASを今風に復活させたらこんな感じかなと。もちろん、KANSASは現存していますが今は違う方向に行ってますのでね。
６曲目Ground Zeroはすごいです。この曲だけでアルバムを買う価値がありそう。これは紛れも無いKANSASですね。実はこの曲、Kerry LivgrenのアルバムSeeds Of Changeに収録されていた曲。それをKANSAS風に焼きなおしたワケです。どうです？ 聴いてみたいでしょ。まず、冒頭からボーカルが二人出てくる。二人目がどうやらKerry Livgrenその人らしい。リリカルなピアノ・ソロ、静と動を生かした構成、THE FLOWER KINGSを思わせるシンフォニック・・・最初から最後まで息が抜けません。ちょっとしたドラマを観ているような構成で素晴らしいですよ。
KANSASフォロワーはいくつもいますが、このFLAGSHIPはプログレ・メ タルからのリスペクトという点で面白いですね。プログレ・メタルは、プログレ要素とメタル要素の合体に他ならないのですが、（ジャンルとしての）KANSASはメタルとの親和性が実に高いように思いますね。
本家KANSASがメタルよりの作品（Freaks Of Nature）で新機軸を打ち出し、メタルのフィールドから現行KANSASよりもシンフォニックなフォロワーが現れたってのも面白い話ですね。
それにしても最後の曲なんかKANSASファンにはたまらない作品になっていると思います。興味のある人は是非。