テキサスのバンドです。YES系シンフォとアコースティックとを混ぜて今風の録音（オルタナ、ポストロック）にした感じ。YESのようなキメの細かいシンフォニックでメロディアスでもあります。どの曲も落ち着いて優しい印象。分かりやすい旋律が並びますが、楽曲志向なのが好印象。肩肘張らないシンフォニックという感じ。
それと音を歪ませたりイコライジングして、今風の質感にしてあります。これが意外とさわやかな音・・・アコースティックを加工するとこうなるのね、とこれまた新鮮な気持ちになりました。野暮ったさなど微塵もなし。
１曲目 The Forever of Now
小鳥のさえずり、せせらぎがフェードイン・・まるでYESのClose To The を連想させますが。Edgeやがてロングトーンでうねるギターとアコースティックな輝きのギターが重なり合います。そしてリズムが入り更に引っ張った後、ようやく曲が走り始めます。やはり「危機」を意識してると思うなあ、構成とフレーズが似てるもの。でも、ここで聴けるのはアコースティックなギターと若い歌声。陽光の如き明るさと艶のある音が優しい。アコースティック主体とは言え、変拍子が入ってるしそれなりの緊張感がありますよ。まるでThe Dream AcademyとYESが合体したようで、新鮮です。この１曲目がアルバムのベストのひとつです。
３曲目 All of these Secrets
組曲風ですが、明るい旋律とアコースティックな演奏が和みます。肩肘張らないシンフォニック大作という感じ。アコースティック・ギターが美しいこと。派手な演奏はありませんが、この輝く響きが強く耳に残ります。
５曲目 Paragon
穏やかに素朴な音。奇数拍子をうまく組み合わせて独特の流れを作って、聞き手を飽きさせません。最近のENCHANTが明るいアコースティック形になったとしたらこんな感じか。後半は白熱のインストに突入です。これもアルバムのベスト曲。
６曲目 Return to Cair Paravel
ジャズを取り入れた異色ナンバー。ハモンド・オルガンが強調されていて、ファンキーな曲調もかっこいい。
７曲目 On my Knees
音を加工していますが、軽く歪んだギターがアコースティック仕立てにうまくあっています。前半は従来どおりの歌ものアコースティック、後半はYESをアコースティックにやったような感じの白熱シンフォニックですよ。ドラムがAlan Whiteみたいです。
持ち味のアコースティック･ギターが印象的です。派手なギターソロもないし、シアトリカルなボーカルもいませんが、彼らを印象付けるには十分の武器になってます。
これはいいバンド。アコースティックというとどうしても「牧歌調」と書きたくなるんですが、これはスピード感もあるし垢抜けているし、今の音なんですねえ。音の処理がうまく効いてます。