LADY LAKE

Supercleandreammachine

深夜向きの懐かしく冷ややかなシンフォ　キャメル・タイプ

　穏やかにひたひたと進行するシンフォニック・ロック。深夜便CAMEL。劇的な展開なんだけど、中心に冷水のカタマリのようなものがあるといいますか・・実に冷ややかで落ち着いた音。とても０５年リリースとは思えない古色蒼然サウンド。７０年代のユーロ・ロック然としています。オルガン、メロトロンも多用。なんと言ってもエレクトリック・ギターの音色が古すぎる！　まるで７２年ごろの褪せたような音色です。ジャズロック的なものも取り入れています。あ、そうだすべてインストです。

　まず１曲目に配置された組曲The Untold Wantです。CAMELをダークなシンフォにして、組曲をやってるような感じ。劇的です。深夜にモノクロの外国映画を見ているような感じかな。
　４曲目Ford Theatreは変拍子を生かした展開です。オルガンとメロトロンをふんだんに使っていて、まるでＢ級シンフォの発掘盤を聴いているような気分です。
　５曲目SupercleandreammachineはCAMEL＋FINCHみたい。郷愁を刺激するサウンドです。

　なかなかいいです。旋律が地味なので聞き込みが必要かもしれませんが、この冷ややか＆懐かしシンフォ・サウンドははまりますよ。オススメです。

MUSEA FGBG 4603.AR ('05)

Unearthed

未発表音源ながら佳作　イエス ＋ フュージョン！？

　３枚目になりますが、実際は７０年代末に録音されながらリリースされなかった音源をまとめたもののようです。そのため彼らの既存リリースの作品と比べ演奏と録音が荒れています。

　荒れているとは言うもののなかなか捨てがたい良さがあります。例えて言うなら、YES系シンフォ８にクロスオーバー２を足したような作風です。アメリカにDRAMAという、やはりYES＋クロスオーバーのような荒々しいインストバンドがあったのですが、それに似ています。スリリングで時にムーディー。
　個人的に好きなのはYES＋クロスオーバーという印象の３曲目Tea Timeです。ギターが走ってるスリリングな４曲目Lady Lake、ワイルドなギターと流麗なエレクトリック・ピアノの対比が印象的な５曲目22 cm IIもいいな。

　最初はしょぼい音だなと思いましたが、先述のDRAMAを思い出しながら、クロスオーバーとYESのいいとこ取りだと思って聴いていくとなかなかのこれが楽しめるわけで。そしてマニアとしては貧弱な録音ゆえに逆に興奮するような要素があるのですね(笑)　哀愁のギターが漂わせるＢ級感も捨てがたいものがあります。こういうのリリースするのはMuseaらしいなと思いました（笑）。特にライブ音源のラスト２曲はなんて言うかもう音がボロボロなんですが、場末の雰囲気が実にたまらんですわ。

　正規リリースされた彼らのアルバムと比べると当然品質は落ちますが、YES系シンフォが好きな人やMuseaのＢ級シンフォに魅力を感じている人には面白いと思います。

MUSEA ('80)