Geddy Lee待望のソロ。やむなくバンドを停止せねばならないかったにせよ、彼がソロ作品をリリースしてくれたことは我々ファンにとって大変うれしい。あの不幸な事故が起こるまではバンドは順風満帆。多忙な彼がソロなどとても作りそうには思えなかったんだよね。まず、RUSHとの共通点は、ギター、ベース、ドラムの３人組であること、そしてメロディラインだけを取り出せばRUSHとなんら相違点がないことだ。まあ、当たり前なんだけど。
逆に違う点といえば、まずベースへのこだわりのなさだ。これには驚いた。RUSHと言えば時にリードをとるほど、ベースラインが最大の特徴であるのに、ここではそのベースの音が目立たない。そして、構成に非RUSH的な曲があること・・４曲目Working At Perfektの打ち込みリズムや９曲目Slippingのピアノ演奏はRUSHではやりそうにない音だ。
Alex LifesonのプロジェクトであるVictorと聴き比べるのも面白い。互いの共通点は、モダンな音を志向しながらも半分はRUSH、半分は異質なものという構成であることだ。
RUSHとの違いを出そうとか、個性を前面にだそうという気負いは感じられない。RUSHに似てようが似てまいが、この先、再びその機会があるかどうかわからないこのソロ・プロジェクトを純粋に楽しんでいるように思える。控えめなベースはその表れなのかもしれない。
なかでも印象的なのは１曲目My Favorite HeadacheとラストのGrace To Graceかな。特にGrace To GraceはRUSHにかなり近い感じになっていて、知らずに聴けばわからないかも。
思ってたよりも堅実・・というか悪く言えば地味。驚きは正直少ないね。まあ、楽しみは曲を聴きながらRUSHだったらどんな風に演奏するかなあと想像することか。