アメリカのバンド。落ち着いた作風に、８０年代の雰囲気を残すプログレ・ハード作品。たぶん作品はこれだけだと思います。国内盤もリリースされました。THE QUEST(UKのほうね)や初期EVERONに似た音です。言うまでもなく、アメリカには７０年代から活躍しているプログレ・ハードのバンド群（KANSAS、STYX、BOSTON・・・）があるわけですが、このTHE LIGHTは明らかに異なる音です。おそらく90125当時のYESやASIAなど英国出身でありながらアメリカで支持されたサウンドに影響されてると見ました。
曲によってはSAGA風とも。リード・ボーカルは声量、声質ともに中途半端で魅力には欠けますが、表情豊かなコーラスがそれを補って余る出来。ちょっとYES風です。メロディはアメリカらしく明るい旋律が多いのですが、なかでもSaid The Spider、Behind Homeの２曲が魅力的。なんと言うかな、一歩踏み出してわびさびに通じる情緒を目指した感じ・・他のプログレ・ハードではちょっとなさそうなフレーズです。
ところどころに新旧プログレの要素（PINK FLOYD風ＳＥ、ムーグ、Steve Howeタイプのギター、Chris Squireのような歯切れの良いベースなど）を散りばめていて、往年のプログレに憧れてるんだろうなあというのが分かって面白い。
最初の３曲とラスト曲はポップでもあり適度にプログレでもありとバランスのとれた佳曲かと。アルバム中盤はややダレてしまうのですが、それでも曲展開やギター＆ベースのプレイには８０年代に一時代を築いた90125YESやSAGAらしさを感じとることができます。このバンドに、先のTHE QUEST,初期EVERONそして初期WORLD TRADE、MARAも加えてひとつのグループとみることができるんじゃないかな。雰囲気が似てるんですよ。
残念なのはプロダクション。音にメリハリが少なく平坦に聞こえてしまうことです。そのため、ドラマチックな線を狙っているのに淡白な印象を受けてしまい損をしていますね。
ともあれこの作品はいいですよ。プログレ・ハードが好きな人は「買い」です。