これは面白い。これ、ECHOLYNの再来かと思いました。若さを前面に出したボーカルとメリハリの効いたポップな曲調はガレージ・バンド風であり、リズム構成と曲展開はECHOLYN / GENTLE GIANT直系プログレです。軽やかな曲調で複雑なリズム構成をこなしていくところとか似ています。他に特筆すべき特徴としては、曲ごとにフィーチャリングされる楽器が異なること。ピアノ、ハモンドオルガン、フルート、ホーンセクション・・・ それとユニゾンが多いのも特徴ですね。
１曲目 Set Your Sails
第一印象はECHOLYN ＋ IT BITES。複雑な変拍子構成をポップな旋律で涼しい顔して飄々とやってのけた感じです。これは個人的にツボでして。
２曲目 Stay
フルートをフィーチャリング。変拍子の不思議なうねり。GENTLE GIANT型シンフォです。
３曲目 Bug City
ホーンセクションが入ったストラット風。シンプルな曲ですが、ギターとキーボードのユニゾンや、オルガンが出てくるので楽しいです。
４曲目 Lost
どうも曲ごとに主体となる楽器が変わるようですね。ここではピアノ。ピアノが時々個性的な旋律を弾いてます。変拍子展開もあって不思議な味わいのポップ。例えるならばECHOLYN ＋ BEN FOLDS FIVE。ECHOLYN関連にLAND OF CHOCOLATEというのがありましたが、アレにも近いです。私個人としては１曲目同様大好きです。
６曲目 Demian
ASIA系の悲しげなバラードとYESのTempus Fugit（Drama収録）が交互に出てくるような構成。随所にGENTLE GIANT風展開が飛び出てきて、これまたせわしない曲になってます。面白い曲です。
７曲目 Illusion
オルガン／ピアノを使ったGENESIS系耽美派シンフォです。穏やかなパートが主体ですが、途中、速いパートを織り込んで劇的に仕上げていくところは「ほんまに新人か？」と思うくらいよく出来てます。何よりも美しい！ スピーディなテナー・サックスをフィーチャリングするブリッジ部分も秀逸です。IT BITESにも似てます。
８曲目 Bed
ホーンセクションを全面に使った作品。CICAGOに似てて笑ってしまった。演奏はCICAGO、曲調はIT BITES。
９曲目 Tight Rope
ピアノとベース、それにブルース・ハーブが出てきます。懐かしのBreakfast In America（SUPERTRAMP）を思い出しました。
１０曲目 Silver Cities
オルガンをフィーチャリングしたドラマチックなシンフォ。冒頭のシリアスな展開から最後まで流れるようにかっこいい！ 初期のYESを彷彿とさせます。立派なプログレ・ナンバーなんですが、これが普通に聴こえてしまうくらい他のトラックが個性的なんですよね・・
１１曲目 Have You Ever Been Alone
最後は再びGENTLE GIANT風で。洗練ポップな曲とゴリゴリの変拍子インストが交互に出てくる展開。これはまるで、SPOCK'S BEARD＋GENTLE GIANTです。
最初から最後まで面白かったぁ！ 複雑な演奏を不思議ポップにまとめあげる軽妙なセンス。。コミカルあり、シリアスあり。GENTLE GIANT及びその直系（ECHOLYN、FINNEUS GAUGE、LAND OF CHOCOLATE）が好きな人にはもちろん、痛快なプログレ作品をお探しの方、ポップなプログレが好きな人は聴いてくだされ。正直、はやりのオルタナ寄り作品よりずっと面白いな。