タテノリ＆打ち込み風シンセ・・異色ＡＯＲハード
Brian McDonald Group名義で出たデビュー作。ＡＯＲ系ハードの作品集ですが、エレポップ風のシンセワークを取り込んでいることが特徴です。８０年代を席巻したメロディック・ハードに、タテノリ・リズムを強調した感じ。強力にビートを強調し、あざといまでの音作りは好き嫌いがはっきり分かれそう。旋律的にはSURVIVORやSTYXが近いです。
メロディラインはどれもキャッチー。なんかね、徹底してわかりやすくしましたって感じ。どの曲にもフックになるフレーズが何ヶ所も埋め込まれているわけですが。オレなんか、わかり易すぎて聴こうとする意欲が萎えるのんだけど・・からっとした雰囲気に情感豊かなフレーズをうまく織り込んでいるところは巧みです。
打ち込みの多用には、正直やりすぎという印象も。まるでA-HAのような曲もあります。まあ、時代ですかね。それと、録音が非力なんでしょうか、演奏の線の細さは残念です。
音が走っている・・デフ・レパード風のスピード感
前作から１０年。満を持して発表された２作目はメロディックの王道をいく音です。TOTO、REO SPEEDWAGON、CICAGOといったＡＯＲハードの代表的なバンドを連想させます。
そしてそこへ、DEF LEPPARDのスピード感とASIA的な広がり感が足しこまれています。ギターのリフやリズム・・スピード感に溢れ、アルバムのどこを聴いても音が走っています。DEF LEPPARDのような元気の良さ。そして音を重ねて重厚で広がりのある音に仕上がっている。これがかなり気持ちいい！ 例えは変ですが大滝詠一のような音を重ねる作業をしたに違いありません。ASIAも広がりのある音でしたが、こちらはそれを凌駕する重厚さを伴っています。最近ではAYREONがこれに近いかな。AYREONのメロディック・ロック版という感じかも。逆に、どの曲も似たような感じになってしまってますが。
２曲目Hea Back HomeはTOTOにAYREONを足しこんだような音。洗練された旋律と広大で重厚な音がメッチャ気持ちいい。CICAGO風のコーラスと終盤のキーボードソロが秀逸。４曲目I Don't Wanna Want Your TouchはCICAGOにREO SPEEDWAGONを合わせて重厚に仕上げたような音。６曲目 The Night Heaven Falls DownはSURVIVORを彷彿とさせる典型的なＵＳバラード。１１曲目Amnestyは走り回るギターが痛快。SURVIVOR＋VAN HALEN？ ２曲目が一番かな。
８０年代風のメロディラインは懐かしくもあり、フックとなるフレーズも満載。どこかで聴いたようなメロディとも言われそうですが、むしろそのほうが人気の原因になったるするもの。そしてこのスピード感がいいですね。
MTM MUSIC / KING KICP 721 ('00)