MERMAID KISS

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classification : symphonic, acoustic
area : UK
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review :

The Mermaid Kiss Album

英国トラッドに官能的な気品を響かせる美声モノ

 しっとりした歌唱の女性ボーカルを擁し、明るく穏やかな曲調のなかに官能的な気品を響かせる美声モノ。フォーク・ソング/英国トラッドをニューエイジのフィルターを通して再構成した感じ。ワールド・フュージョン風とも言えますね。エレクトリックな音をパーカッションやSEとして控えめに使って、透明感を持たせたり、かっちりした感じに仕上げています。
 まろやかな高品位ポップであることは、後の2作品と変わりませんが、どうも平坦な印象です。他の作品に感じる深みがまだないんですよね。しっとり歌唱にうっとり旋律のセンは守ってるんですが、どうも感情移入できないんですよね。歌自体には、細やかな感情を込めてるのがわかるのですが。いや、水準は軽くクリアしてるんですけど、後の作品が出来すぎなんだよな(笑)
 「おすすめはこの曲」というのがないのが弱点ですね。綺麗なんだけど印象が弱い。敢えて挙げるならピアノと歌唱に心洗われる13曲目Thirteenですけど。

Mermaid Kiss ('03)


Salt On Skin

明るくしっとりした曲調の英国トラッド系美声

 女性ボーカルを擁する明るい曲調、しっとりとした歌唱。フォーク・ソングや英国トラッドの流れを感じさせる旋律。IONAを髣髴とさせる部分はあるものの重厚ではない、あくまでライト感覚と思ってください。シンフォニックほどの凝った構成はありませんが、まろやかな高品位ポップです。時々凄くいい旋律があるんですよね。

 なんと言っても2曲目Walk Away。この旋律はいい! 最初穏やかな曲調なのですが、途中で陰りのある旋律にすっと変わる部分がありまして。この変わる部分が印象的。歌もそれまでのしっとり歌唱からすこし小悪魔的になるとこに胸がときめきます。
 シンプルながら印象的な旋律のある5曲目A Hard Rowもいいです。陰りのある旋律に、哀愁を盛り上げるフルート。パラパラと弾かれるピアノとギターもよろしい。
 丁寧で綺麗だとは思いますが、上記の曲以外はイマイチ。展開がありきたりなんですよ。官能的な感じを狙ってますが、そういうアピールをしようとするときまって演奏と展開が粗くなってしまってますね。残念でした。アルバム全体見ても、あっさりしてると言うか、ヒネリが足りないというか。2曲目のヒネリが鮮やかだっただけに、もっと作りこんでほしかったな。密度の高いものか、ひねりの聴いたものを聴きたいところ。艶っぽいボーカルを生かせるカタチでね・・

Mermaid Kiss ('06)


Etarlis

3作目 劇的な構成と美声ポップが融合した佳作

 ケルト系美声ポップ。ドラマチックな曲構成としっとりした質感が特徴です。その深遠なケルト構成はLoreena McKennitt風です。IONAにもチョイ似。IONAのTroy Donockleyがゲストで参加しています。
 物悲しい旋律としっとりとした女性ボーカルの歌唱。動的な構成はケルト由来ですが、その壮大な印象はVANGELISにも匹敵します。さらに、曲によってはエレクトリックやファンクも取り入れています。

 目の覚めるような冒頭で始まる2曲目A Different Skyは、プログレに通じるドラマチックな構成です。
 哀愁ポップ志向でわかりやすいアルバム前半、ケルト色濃くプログレッシブな展開の多い後半。
 5曲目Nowhere To Hideはしっとりと悩ましいボーカルに誘われて、やがて深遠なケルトの迷宮に迷い込むような趣き・・ミステリアスな雰囲気がたまりません。
 7曲目A Sea Changeはケルト色の強い作品です。厳かな歌パートも素晴らしいのですが、そのあとの演奏が荘厳で気品に溢れた強力なシンフォニック。ケルト好きのプログレ・ファンなら納得すること間違いなしかと。IONAのインスト作品に近いものがあります。
 8曲目Shadow Girlはフルートの儚い旋律が印象的。女性の二重ボーカルとピアノというシンプルな構成。切ない旋律が琴線に触れることでしょう。何かに似てるなあと思ったらSteve RotheryのTHE WISHING TREEに似てるのでした。
 エレクトリック要素の強い9曲目Beat The Drumは鍵盤の随所にプログレ志向が感じられます。
 10曲目Crayola Skiesの物悲しい歌唱もいいです。
 ラストの11曲目The City Of Clouds (Qway-Lin)は10分もの長い曲。ファンキーなリズムも取り入れて、ちょっと変わった哀愁シンフォ・ポップになってます。Alan Parsons風です。キーボード・ソロがプログレ志向で嬉しかったなあ。

 Loreena McKennittをモダンにしたような感じです。そしてIONAよりもポップ。とりわけ、7曲目から最後までの楽曲がシンフォニック要素が強く楽しめました。
 官能的なイメージのジャケット同様、しっとりとして艶のある女性ボーカルがいい感じ。ケルトの深みのある演奏と合致して神秘的な雰囲気を作り上げています。

Mermaid Kiss ('07)