当初、よくあるパワーメタルに多少プログレ要素が含まれているような典型的なタイプかと思ったが、間違いなくそれ以上のものがある。というのも、曲の構成が凝っていて旧来のパワーメタルとは明らかに異なる。全体をしっかりと見渡して作られているし、メロディも悪くない。何曲かは斬新な手法が含まれていてそれなりにプログレッシヴしている。そこそこヘヴィだが、あまり重くは感じられない。多少チープさは感じられるけど。そんな曲調から受ける印象はクルクルと変りつづける景色を眺めているよう。ギターはザクザクとしたリフからクラシカルな演奏まで曲に変化をつけている。キーボードは音像を広げるシンセと、胸のすくようなピアノを巧みに織り込んでくる。ヴォーカルも上手い。
３曲目 In The Dark
冒頭の煌くようなギターから拍子のとりかたなど随所に斬新さが見える。耳に新鮮。
４曲目 Gone
曲調がクルクルと変るのが変るのが快感。スローで物悲しい冒頭からいきなりタテノリの展開に。音が走っている。途中、オルガンやクラシカルなピアノなどいろんな音が現れては流れ去り、まるでジェットコースタのよう。
５曲目 No Religion
DREAM THEATER風の冒頭から一転＜ファンク＋メタル＞的な展開に。その後もどんどん曲のイメージが変化していくが、繋ぎ方が上手いのか違和感は無い。
メロディもそこそこ良いが、曲構成そのものを吟味するだけでも楽しい。このままアルバムを出しつづければもっとビッグになれそうな感じ。
出世作Nailed To The Shadeに続く作品。ドラマチックに聴かせるメロディック・パワーだけど、丸くなったと感じさせるのは、メロディに配慮しはじめたせいかな。前作と比べると歌パートの割合が大きくなったように思います。インスト曲も収録されてるんだけど、今回はあんまり面白くなかったし。