アルメニア出身のクラシカルなプログレ・バンドです。バイオリン/フルート/ブラス/ストリングスを擁し、アンサンブル重視の現代音楽集団です。クラシックの楽器であるバイオリン、フルートそしてストリングスをフィーチャー。そこにワイルドなオルガンとエレクトリック。ギター、さらに変拍子をバリバリこなすリズム隊が加わり、強力なアンサンブル＆クラシカルな作風で押し通します。アンサンブルの持つ絶妙なバランスと強力な表現力に圧倒されます。これぞまさにシンフォニック・ロック・・・特にKANSASに似ているのです。初期KANSASに通じる旋律とその荒々しい抑揚もそっくり。また一方で、SHADOWFAXやTHE DREGSにも通じる洗練されたインストロメンタル作品でもあります。
１曲目Anthem the Unseen Landと２曲目Water Sparkはクラシック編成で聞く初期KANSASみたいな感じ。熱を帯びた演奏です。
３曲目ElfyはSHADOWFAX風で、情緒あるニューエイジという印象です。
４曲目The Way Back Homeは中世音楽とハードロックが融合したような趣きです。オルガンがかっこいいです。
５曲目Talybontは彼らの特徴が最も出ている曲といえましょう。優美なバイオリン、SHADOWFAXのようにエキゾチックな曲想、KANSAS風の節回し・・明るく力強い１曲です。
７曲目TimeoutはまさにKANSAS。ブラスを入れたKANSASという印象です。優美な旋律と、白熱するエネルギー・・・変拍子を織り込んだ滑らかな演奏に舌を巻きます。
８曲目以降は組曲Conquest Of The Pacificです。シンフォニックな色彩が強くなり、ぐっとクラシカルな要素に力点が置かれ流麗な雰囲気に。KANSAS＋YES＋クラシカルという印象です。Rick WakemanがKANSASをプロデュースしたらこんな感じになったのではないかな。
クラシック、シンフォニック、中世音楽。さらにニューエイジや欧州の民俗音楽といった要素まで吸収して完成した雄大な世界・・・そして荒々しいスピリッツに突き動かされた白熱の演奏。クラシカルなシンフォニック・ロックとは斯くあるべきと納得する１枚でした。どの曲も丁寧に作られているので、聞き込むほどその出来の良さに関心してしまいます。クラシカルなシンフォニックな好きな人、KANSAS／YESのシンフォニック作品が好きな人には是非試していただきたい作品です。