チリから登場した、あっと驚きのテクニカル・メタル。驚いているのはチリ出身だからではなく、その演奏力。昨今さらにテクニカル度を増したDREAM THEATERの近作や、その周辺プロジェクトに呼応するような技巧と構成力を誇る。なによりもラテン的なメリハリが加わっているのが最大の特徴。例えて言うなら、ANGRAから分かりやすさを排して、さらにテクニカルにしたような感じか。パワーメタルに変拍子を組み合わせ、ラテンとジャズ要素を持ち込んだようなテクニカルさは圧巻。リズム隊は複雑な拍子を次々と繰り出す。DALLI'S DILEMMAのようなテクニカル・パワーが好きな人はこの部分だけでも十分楽しめるはずだ。ポリリズムも出てくるぞ。
ギターがもっと凄い。パワー系の演奏からフュージョン・ギター、そしてフラメンコ奏法まで身につけている。全編スペイン語で歌われていて、その抑揚の効いたヴォーカルもANGRAに通じるようなラテンの血を感じさせる。
メロディラインはキャッチーでもメロディアスでもないが、楽曲を構成するには及第点といったところだろうか。
１曲目La Dictadura De Las Maquinasを聴くだけでそのスリリングさとアイデアに圧倒されること間違いなし。特にDALLI'S DILEMMAとラテンを合体させたような３曲目Wall Streetがハイライトか。畳み掛けるようなスピード感と重厚さを持ち合わせた曲で、彼らの才能が最も現れている。
これだけの演奏力に、あとはもう少し印象的なメロディが書ければ言うことなし。これはもう、テクニカル・ラテン・メタルという新しいジャンルかも。ひょっとして南米にはこういうバンドがもっと居るのかも？ 調査が必要ですね・・