カリフォルニア出身の５人組。地元では人気を集め、KING'S Xとツアーを回るほどの実力のあるバンドです。かつてENCHANTやALTURAはメタル・ファンよりもプログレ・ファンに強く支持されました。複雑なリズム展開が生み出す緊張感、そして重厚さと情感の見事なバランス感覚・・これらを兼ね備えていたことが支持を集めた要因だったと思います。このPRYMARYもそれらバンド群に近い特質を持っているようです。
メタルだけでなくスパニッシュ風やMARILLION風など多彩な芸風のギター、シンフォニックな感覚を持つキーボード、ENCHANTのように複雑なリズムをたたき出すドラム、時にリードを担当して曲を引っ張ることもあるベース。そして全体を包むソリッドな雰囲気。
１曲目のCommon Groundは重厚なドラマのよう。DREAM THEATERのような冒重々しいオープニング、開始４分目からのテクニカル＆スリリングな展開は特筆モノ。
４曲目Promiseは、それまでの粘着質の曲調が嘘のように、インスト・パートでは目の覚めるような白熱した演奏が繰り広げられます。
７曲目Running To A Standstillでは後半部に収められている長いインスト・パートが充実しています。キーボードによるDerek Sherinianばりのアグレッシブなソロは圧巻です。
上記のほかになんと２４分の大作まで収録。個人的には演奏時間１０分の１曲目が素晴らしいかと。
デビュー作としてはいいほうだと思いますが、聞かせ方という点ではもっとメリハリがあったほうがいいではないですかね。演奏にもっとしまりがあれば完成度は飛躍的に上がるように思えます。次の作品を製作中とのことなので期待。
CD BABYで購入できます。
Rudess加入後人間ドラマを追求し始めたDREAM THEATER。メタルで精神面に切り込み重厚な作品を生み出していますが、PRYMARYのセカンドアルバムとなる本作もそれに近いものを感じさせます。前作よりもさらに重厚さを増し、まるで重戦車のようなプログレ・メタル作品です。