例えて言うなら上半身がGENESISで下半身はタコ（GENTLE GIANTね）というところか。つまり、キーボードとヴォーカル、ギターはGENESIS風シンフォに傾倒していてり、リズム隊はGENTLE GIANTばりの高速変拍子を繰り出すというすさまじいバンド。特にキーボードは、その狭間にあってTony Banksのような愁いを帯びた音色でバッキングをしながら、一方でKeith Emerson風のバリバリのソロをしかも変拍子でやりのけてしまう。ヴォーカルはPhil Colins風でちょっとだけだがシアトリカルな面も見せています。ギターはさほど目立たないがやはりSteve Hackett風の浮遊感を感じさせる奏法をやっている。何なんだこのバンド？
一方、リズム隊は変拍子を続々と繰り出し、GENTLE GIANTあるいはRUSH風で展開していく。そこにオルガン等のキーボードが加わり作り出される変拍子シンフォ・・・そこにギターがフワフワと舞うような展開があったりしてこれがなかなかカッコいい。
なかでも大作である４曲目Marathonそして５曲目In The Heart Of Manはアルバム中のハイライト。目まぐるしくハイテンポで回転しつづけるかのようなキーボードのリフがたっぷり聴けます。ちょっと中だるみと感じられる部分もあるけど。
速い展開での疾走感はかなりのもので、変拍子をものともせず駆け抜けるようなキーボードプレイは実に鮮やか。ただ、曲の構成はちょっとどうかな。時々、ネオプログレ／ポンプっぽい平坦なパートがあったりして、ちょっとツメが甘いかも。さっきまではあんなに凄かったのに、急に凡庸になったりしてね。
ラストの６曲目The Ring Of Mythはメタルの要素までブチ込んで、かなりエキサイティング。
バンドの存在はあまり知られてないけど、これは一聴の価値ありです。特に変拍子ファンにお薦めです。日本国内では店頭で見たこと無いですが、KINESISレーベルからなので専門店なら取り寄せてくれるでしょう。amazon.comなど大手や専門通販サイトではよく見かけます。
