YESそっくりさんとして知られるバンド。SYN-PHONICレーベルからリリースされているが、発掘モノではなく現役のバンド。以前、VAILという名前で1枚アルバムをリリースしています。ニューエイジ的なインストと７０年代のYES風シンフォを合体させたような感じ。楽器の手癖からヴォーカルまで一生懸命にYESの方法論でやってみました、ってところかな。曲の随所にYESが好きでしょうがない、というのが伝わってきます。９０年代のSTARCASTLEか？
SYN-PHONICから出る作品に共通する性格と思いますが、演奏は垢抜けない感じ。曲によっては不器用な印象すら受けます。いい感じでインストが聞こえてきたなーと思ってたら、むりやりYES風のシンフォに突入したり（しかも不自然）、延々とソロが続いてみたりと聞いてて困惑。７０年代シンフォが好きな人向け限定の同窓会的サウンドか（失礼）。
ヴォーカルはJon Andersonに似てはいる・・けど、はっきり言って歌は下手。ギターはHoweに、ピアノソロはWakeman、ドラミングはWhiteに似ている。が、時折はさまれるソロパートがどうも魅力に欠けます。ピアノはまあまあいい感じなんだけど。歌パートもインストパートも、繰り返しの多い展開で起伏が乏しい。
楽曲は全てYES風のシンフォニックを志向していて、どの曲も同じような雰囲気。違いがあるとすれば、出来不出来にムラがあることくらいか。中間に用意された組曲はメンバー一人一人のソロが有ったり変化に富んではいるけど、いかんせんメロディが単調。Rick Wakemanばりのソロは聴き応えがあるだけに、演奏が短過ぎてもったいないです。もっと鍵盤中心にインストを充実させてほしかった。
いかにもAndersonが書きそうなラストの曲The Pathだけは、メロディもよくシンフォとしても成功していると思います。