フックの効いたメロディとメリハリのある構成のYESタイプ 元気のいい音
イリノイ出身。恐らく3枚以上出ているアルバムのうち、たぶんこれが1枚目。ジャンル的にはプログレ・ハードに分類されることもあるようですが、よくあるUSハード・ポップではありません。YESゆずりのメロディと構成力です。そこにハードロックを持ち込み、スリリングなプログレ作品になってます。
音が走っているのがいい。緩急を生かして曲の流れや起伏を自在に操る技術はたいしたもの。ゴリゴリのベースや曲調がクルクルと変わる展開、メリハリのある構成にYESからの影響を感じます。それでいて、ハードロックに通じるような分かりやすい旋律。
1曲目Anyone
YESをシンプルにしてハードロックを足しこんだような音です。軽快さと繰り返す展開が素晴らしい。最も印象に残る曲。
2曲目Grander Vison
20分に及ぶ大作です。QUEENの影響も。ギターはどことなくGENESIS風。長いピアノソロがフィーチャリングされています。
3曲目 The River
これは、まんまYES! 敢えて言うなら、70年代初頭に未だ発展途上にあった頃のYESから動的な部分を取り出し、アメリカ解釈したような音!(←わからへんて・・)
4曲目 Wire Mill Scars
組曲風の構成で聞かせるシンフォ度の高い作品。
聴いていて飽きません。YESのように巧みなメロディラインとしっかりした構成力。陽性でスッキリ聴こえるんだけど、よく聴くと結構工夫をしていたりする知的な構成。勢いと流れを感じさせる音がいい。爽快。
都内の中古で不当なくらい安く売られていますね(500円とか・・) 海外の通販サイトにもよく置かれています。
ラッシュとクィーンを足したような音
1枚目を引き継いだ音。YESをシンプル且つ元気にしたような音にRUSHやQUEENからの影響が垣間見られます。
1曲目Beyond The Endは前作のそのまま延長のような曲。元気でシンプルなYESといった趣きが印象的。
3曲目Marburg Friendsはプログレ大作主義だった70年代RUSHをマイルドにしたような作品。ちょっとTILESを思い出しました。
5曲目Cairoは冒頭からハードなシンフォ。組曲風の構成で、開始3分間は70年代前半のYESのように複雑なインストが続く。ここでは長いキーボードが聴きモノ。その後歌パートに入る。
そのまま6曲目Everyday Disguiseになだれ込むように繋がる。ここではSPOCK'S BEARDばりのポップな展開を織り込んでいます。どこかしらQUEENを連想させるヴォーカルが冴える。ギターは70年代初頭のような音色になっているのもまたいい。
7曲目Cairo Repliseはジャズロック風。
10曲目My Black CatはQUEEN風のシンフォ・ポップ。ピアノを主体に柔らかに構成されている。
11曲目Primitive Youは70年代風のスリリングなプログレ。Rick Wakemanばりのキーボード・ソロがある。
いろんなタイプの曲が収められていて楽曲的にはおもしろい。ですが、アルバムの中心になる曲が不在だなー。そのため前作と比べるとインパクトが弱いです。メロディの面から印象に残る曲がせめて1曲は欲しかった。未聴の人には、1枚目から聴くのをお奨めします。
ハードロックとシンフォの融合 スピード感でモダンな音
これが3枚目。Freddie Mercury似のヴォーカルを中心に、ハード・ロックとシンフォニックを融合させたような音。基本的には明快なメロディラインを凝った演奏で展開しています。彼らの特徴は、複雑な展開になってもポップ性とスピード感が失われないこと。時折LED ZEPPELIN、YES、QUEENの影響を感じさせる瞬間がある。その一方、楽曲のまとめあげ方は、シンフォ・バンドとは異なり、かなりモダンなタイプ。へヴィ・ロックの形態をとったりしながらも突如としてアコースティックになったりと、独特のうねり方というか、RELAYERらしい独特の方法論があるのだ。
3曲目I Destiny、4曲目Favorite Day Of The Year、などはよくできていると思う。とりわけ、タイトル曲である5曲目Last Man On Earthは穏やかに流れるようなメロディ、流麗なピアノが心地よい佳作。
スリリングな展開とポップなメロディ、そしてほっとするような優しさがこのバンドにはある。