SEIKIMA-IIのリズム隊、湯沢と石川がキーボードの松崎雄一と組んだプロジェクト。これが驚きのフュージョン作品。ゴリゴリのベースに正確なドラミングが前面に出たテクニカルな作風に仕上がっている。ファンキーなメロディに豪腕リズム隊が活躍。とりわけベースの力量はかなりのもので、このベースラインを聴くだけでもなかなか楽しい。ゲストも豪華。ヴァイオリンの斉藤ネコ、ギターの渡辺香津美、宮腰雄基、和田アキラが参加。ゴージャズな雰囲気のファンキーな曲が大半だが、それらに割り込むように配置されたテクニカル志向の楽曲が素晴らしい。それらをちょっと紹介。
タイトル曲である３曲目Chemical ReactionはPRISMなど日本のフュージョン作品が好きな人には必聴。テクニカルな構成にワールドミュージックを配したような出来がたまらん。６曲目Devil's Tongueはテクニカルさを前面に押し出したもので、フレンチ・ジャズロック風のヴァイオリンとAllan Holdswrth風ギターが素晴らしい。これはもう、完璧にプログレッシヴなベクトルを持つ作品だ。PRISMみたいだなと思ったら和田アキラがギターソロを弾いているではないの。同様に和田アキラの参加してる１０曲目War Cloudはさらにスピード感溢れる展開。途中に鮮やかなドラムソロが含まれる。ラストの１１曲目信天翁はスケール感のある曲想に、たおやかなベースと伸びやかなギターが交互にソロをとる美しい曲。
もともと上手い人たちだなあと思っていたが、ジャズ志向とは知らなかった。現在はSEIKIMA-IIを卒業し、スタジオミュージシャンとして活躍中の彼ら、今後もこのプロジェクトを続けていくようだ。今後も期待したい。