これは素晴らしい。流麗なメロディを持ちつつ、劇的な変化に富むシンフォニックです。SPOCK'S BEARD、SALEM HILL、IZZといったアメリカのメロディアスなモダン・シンフォニックに呼応するような作風。特徴は、まず良質な旋律に富むこと。印象的でキャッチーなのですが曲が安っぽくならない。これはフレーズのひとつひとつの良さもさることながら、キャッチーなものを使いまわさず、ひとつの曲にたくさん詰め込んでいるのが特徴です。つまりＡメロＢメロというようなありきたりな展開が少ないようです。
それから、変拍子あるいは奇数拍子の多用。ポップで、しかしシリアスという、まあプログレ・ファン好みの曲構成。
それと、鍵盤奏者がまた達者なんですね。Keith Emersonのようなプレイにしびれます。 そして、なによりも曲の完成度の高いこと。前出のバンドのほかにYES、THE FLOWER KINGS、KANSASといったビッグネームに匹敵するかと。
１曲目New Risingは哀愁旋律と奇数拍子を組み合わせ、悲しい短編映画を見るようです。圧倒されますよ。IONAを圧縮したような感じ。
２曲目Stay Besideは一転して明るい曲調に変拍子をかませて小気味良く展開。IZZとSPOCK'S BEARDの中間のような作風。
５曲目Attract MeはFINNEUS GAUGE風。あのＧＧ風変拍子とコーラスを多用し、ポップな曲をやっています。痛快。
７曲目Paid for Glanceは鍵盤とこのシリアスな盛り上がりは初期KANSASのよう。
１１曲目Out of Cloudsが、これまたジャズを取り入れたシンフォ・ポップ。哀調旋律にアルト・サックスの軽やかな響き、そしてバキバキのベースが絡みます。ああ、かっこいい・・
これはいいものを聴きました。すでに３枚も出ているそうです。知らなかったな。