MYSTERY、MARAに近い音。うつむき加減のフレーズにリズムの強いハードな演奏が合体したような。物悲しい旋律でおきまりのメロディック・シンフォが展開される・・かと思ったら重厚なギターサウンドに早代わり、DREAM THEATERのような強力なメタルに突入します。知る人ぞ知る英国バンドTHE QUESTの２枚目Changeによく似た作風。二人のギターはGENESIS亜流系の伸びやかでしっとりとした音から、エッジの効いたハードな音まで広くカバー。シンフォニックだが幾重にも重ねあわされたギターサウンドはなかなか聴き応えがあります。
ボーカルは中広域を無理無く歌う伸びやかな声の持ち主。声にイマイチ張りがないけど、そのほうが演奏は目立つかもしれない。
メソメソ系シンフォに始まりDREAM THEATERばりの怒涛のインストパートを展開する２曲目Suicidal Tendanciesを強くリコメンド。MYSTERYタイプのメソメソ系メロディック・シンフォな３曲目Just A Dreamと、THE QUESTのような哀愁ハード／メタルな６曲目Poemが好きな人も多いでしょうね。また、生ピアノのクラシカルな導入部から始まりじわじわと盛り上があり「これぞプログレとメタルの融合ぉっ」叫びたくなる劇的な９曲目Phantom's Sighも味わい深い。カラフルなギターのが移ろいを楽しむ４曲目Prism Magic、印象的な旋律で弾き語り風のまま変拍子展開を挟む５曲目Lonely Ironyもいいです。まんまDREAM THEATERな目の醒めるようなハイテク・プログレメタル展開の７曲目Serpantも・・とまあ、捨て曲がないのだぁ。
なんといってもメロディがいい。伸びやかなギターと分かりやすい旋律。一度聴いたら忘れなさそうなフレーズが随所に散りばめてある。メロディック・シンフォが好きな人や、シンフォも好きだけど哀愁メロディック・ロックも好き、という人にはウケる音。また、シンフォメタルファンには哀愁メロを好む人が多いので、プログレファンよりもそちらから支持されそう。MYSTERY、THE LIGHT、MARA、THE QUESTなど今となっては同系統のバンドも多いので一聴しただけでは地味な存在に見えるかもしれない。また「ポンプにメタルを足しこんでヤツね、他にも知ってるしってる」とあっさり片付ける人も居るかもしれない。でも、３度４度と聴きこんで欲しい・・できればヘッドフォンで。その旋律が馴染みだしたときに彼らの良さが分かるはず。
時折垣間見せるニューエイジやアコースティックへの志向など、その音楽的裾野は広いと見た。もちろんレベルも高いです。聴いて損なし。