AMERICAN TEARS解散後Mark Mangoldが組んだAORハードのデビューアルバム（８３年）。SPYSやTRILLION同様知る人ぞ知るＢ級バンド。商業路線だったらしく、アメリカらしいポップなメロディが秀逸です。演奏はアンサンブル優先。あくまで抑え目にしつつもプログレ風味のキーボード、QUEENばりのコーラスなど聴きどころはたくさん。プログレ・ハードな展開も時折出てきてはっとすることも。Mangoldを含めボーカルが３人居ることが曲の表情を豊かにしています。
音の古いのは仕方ないんですが、薄っぺらな音質になってしまっているのが残念。
２曲目 When The Spirit Moves You
シングル・カットされた曲で最もポップな曲。オープニングは一度聞いた忘れないくらい印象的です。ＡＯＲハードの逸品と言えるんじゃないかな。
３曲目 Love,Dont Fail Me
BOSTONを彷彿とさせるメロディラインが秀逸。
４曲目 Black Star
アメリカ風QUEEN？ 重厚なコーラス、速い展開、ハードなギター・・・うまく言えませんがＡＯＲハード系では珍しい曲調です。音楽的な幅の広さは広いのですねえ。この曲好きです。
６曲目 Take It Back
これぞ、８０年代アメリカンと言いたくなるメロディック・ハード。平易ながらも印象的。BOSTON系。
８曲目 Last Chance For Love
ポップな展開のなかにあって重厚なキーボードがいい感じ。メロディック・ハードのお手本のような旋律。こんな売れ線の曲が有るのに不遇だったなんてなあ・・
９曲目 YES (You Need To Rock'n Roll)
音が走っている。ギターよりも目立っているオルガンの音色が、プログレ・ハードの好きな人にアピールするのでは。
１０曲目 Listen (Can You Feel It)
メロディとコーラスワークはJEFFARSON STARSHIPを彷彿とさせ、プログレ・ハードタッチでさらにドラマチックにしたような感じ。Micky Thomas(JEFFARSON STARSHIP)のような声質とキーボードの演奏が印象的。
この時代のメロディック・ハード系の作品ってどの曲も同じ印象というアルバムが多いんだけど、これは演奏が尖がっているというか・・いろんな要素が隠し味のように効いていて曲毎に違う魅力があります。曲毎にボーカルが違うというのも新鮮です。
実力はあったし、話題にならなかったのが不思議なくらい。時代が変りつつあるところだったから仕方なかったのでしょうか。同様に売れなかったバンドは山のように居るわけだし・・・・でも、プログレ・ハードやメロディック・ハードが好きな人には間違いなく買いですよ。
この後、Mark Mangoldはソングライターに転身し成功。その後、DRIVE,SHE SAIDを結成、成功を収めます。
このアルバムはＣＤでの再発にともない未発表曲２曲が追加されています。日本盤が出ていて入手は容易です。