９０年代YESのパワー・ポップ要素を取り出してアメリカン・ロックへ足しこみ、さらにドラマチックに仕上げた感じ。YESに似てるのには理由があります。日本ではまったく話題になっていないけど、YESのAlan White（ドラム）とBilly Sherwood（プロデュース）が参加していたのでした。彼らは元々YESのファンらしくYESの曲をステージで演奏していたことも。Alan Whiteとセッションもしました。youtubeでAlan Whiteが若いバンドのなかでTempus Fugitを演奏しているのを見た人もいると思いますが、あれです。
９０年代以降のYESは、シンプルなメロディラインに幾重にも音を重ねたパワー・ポップ路線をとっていました。Big GeneratorからOpen Your Eyesがその時期にあたります。その重厚路線をさらに推し進めて新たなプログレを提示しようとしたのがCONSPIRACYです。一方、プログレ要素を出来るだけ排してジェントリーな大人のロックを目指したのがWHITE（Alan Whiteのバンド）だと言えましょう。そして、そのYES系統の外でその音を継承しようとしたのがこのTREASONです。
曲の質感は先述のとおりYESの近作に近いものがあります。唸るオルガンやエッジの立ったギターは７０年代の粘着ハードロックのようです。一方、メロディはシンプル。なかにはGOO GOO DOLLSタイプの骨太ロック風もあります。雰囲気はダークでウェット・・しかし歯切れ良い演奏は好感が持てます。ＳＥを使ったドラマチックな構成は、時にPINK FLOYDを連想させることも。
ベストソングは３曲目Too Lateと１１曲目Pushです。デビュー作とは思えないくらいのしっかりしたサウンドです。もう、簡単に言ってしまうなら「YESにPINK FLOYDを足してプログレを引いて、さらに音を間引いた感じ」ですかね・・ちょっと乱暴ですけど。