こういうトリビュートものの場合、参加バンドのアプローチは二通りある。ひとつは自らのテクニックを駆使して完璧に原曲を再現してみせること、もうひとつは自ら築いた方法論をアピールするため、原曲を独自解釈して全く別の曲に仕上げること。前者の場合、テクニカルさを追求するあまり、原曲よりも手数を増やしてしまうことは許容されるようだ。YES、GENESIS、PINKFLOYD・・・ビッグバンドのトリビュートは一通り完了したよう だ。いや、異なるレーベルで二度も三度も製作されている場合もある。それに対しこのRUSHはようやくという気がする（実はRUSH側からは認められてないらしいが） なぜ今まで出されなかったのか。それは彼らの特殊なまでのオリジナリティに起因しているように思う。豪快でありながらあの３人でしか出せない音・・・緻密な計算と微妙な演奏のバランスに立脚する音なのだ。だから、もう、似せるしかない。中途半端は許されない。RUSHはまるっきり独自解釈が許されないバンドなのだ。
今回いくつものバンド、プロジェクトが参加しているけど、原曲を忠実に再現しよう としている演奏しか結局印象に残らない。似れば似るほどより鮮明にその演奏がすばら しく思えてくる。特にラストの２曲はすばらしい。