ＬＡメタル興隆期にデビューしたメロディック・ハード。鳴り物入りでデビューしたようですが結局これ１枚で消えてしまったらしいです。メロディック・ロックの一部ファンの間では幻の名作として語られているらしく、国内でＣＤ復刻されています。アメリカらしいドライな旋律に重厚な演奏。歌パートが中心。間にハードなギターソロが入るという、メロディックものだけに作りはいたってシンプルな構成。だけど、ギターやドラム、コーラスを多重録音で重ねまくっていて、ボーカルもエコーとリバーブを深くかけることで過剰なまでにスケール感を演出。さらに、ちょっと気の利いたキーボードが絡んでくることで、タテノリ中心ながらプログレ・ハードっぽくも聴こえます。
スピーディな曲とミドルテンポがずらっと並ぶ。メロディは初期のBON JOVIを代表するようなＬＡ産メロディック・ハード／メタルの典型。良質なメロディとスケール感のある音つくりから「TOTOをワイルドにしてメタル寄りにしたような音」と表現する人も多い。僕はそう思いませんが・・ でも、４曲目Breakin' All The Rulesなどキーボードの入り方はたしかにちょっとTOTO似ではあるかな。５曲目Whipsのシンセは90125のYES風。ＵＳ風のロックロールにブルージィなギターからプログレ的装飾まで詰め込んだこの曲はちょっと面白い。６曲目Can't Say Noのキーボードソロもちょっとプログレ入ってますね。他の曲も基本的には古き良き８０年代メロディック・ハードの流れをくむものが多い。
聴き終えた後のスカッとした感触がいいなー。８０年代のシンプルなメロディとノリの良さ、そしてちょっとプログレ・ハードのテイストがある作品。８０年代メロディック・ハードを追っかけている人には一聴の価値有りです。
もう店頭在庫はないでしょうが、都内や関西でも中古品を時々見かけます。