WORLD OF SILENCE

Window Of Heaven

変拍子メタル と モダン・シンフォをくっつけた猫目サウンド

　 　　　DREAM THEATER ＋ ９０年代シンフォ。

　単にシンフォ・メタルという図式ではなく、ある部分はDREAM THEATERに匹敵する変拍子メタル・・と、突如として曲途中から哀愁ギターで展開されるシンフォに変貌・・そんな感じ。さらにデス要素もあり・・とまあ、めまぐるしく曲調が変化する構成です。そのため、多面的な構造をもつ個性的な楽曲ばかり。基本、ミディアム・テンポな曲なのであまりスピード感は無いんだけど、それなのにそのめまぐるしい変化はなかなかの緊張感。ゴリゴリのメタルから静寂なシンフォに一気に変るときの落差が快感です。これは聴いてもらわないとわからないでしょうね・・
　北欧のバンドらしく旋律は丁寧に作られ、メロディは比較的聴きやすい。難解でないのが好感が持てます。

　ギターはザクザクのデス展開からロングトーンまでまるで別人のごとき変貌ぶり。それを１曲のなかでなんども繰り返し、ちゃんと曲が成立しているのだから恐れ入ります。ギタリストが二人いるみたいに思える。
　ボーカルはこの手のバンドに珍しいJohn Wettonタイプ。メタリックな演奏と穏やかなヴォーカルのミスマッチは耳に新鮮。

１曲目 Point Of No Return
　パワーメタルからDREAM THEATER、GENESIS系シンフォが入れ替わり顔を出す。バンドの個性がわかりやすく伝わる良品。

３曲目 Mirrors Of Contempt
　伸びやかなボーカルの穏やかな曲・・・をゴリゴリのメタルで分断する構成！？　こんなんあり？　でもちゃんと曲としてまとまってるのがいい。メロディや演奏に工夫をしていて、聴かせようとしているのがわかります。

５曲目 Another World
　変拍子バリバリの猫目サウンド。次々といろんものをぶち込んで、どこまでいくねーん、という感じ。


　全９曲収められているけど、奇数トラックのほうがプログレとのバランスも良くて聴きやすいと思います。
　DREAM THEATER的なテクニカルさと目まぐるしさでは、同じ時期に出てきたHEADS OR TALESに似ていますが、押しの一手のHEADS OR TALESと違って、WORLD OF SILENCEのほうがメリハリがあるしメロディもいい。PAIN OF SALVATION同様注目すべきバンド。

BMCD 100 ('96)

Mind Scape

たたみかけない独特な変拍子

　北欧のDREAM THEATERと言われ（またか）たバンドの２枚目。ゆっくりしたスピードが中心のプログレ・メタルです。淡々とした展開のたたみかけない変拍子（笑）

　　８０年代のスローなRUSHに近いかな。湿っぽいRUSH。面白いのは音の隙間が多くて、まるで隙間を聴かせるような構成と、内にこもるような湿っぽい音。この感触ってDamn The Machineに似ているな。殺伐とした印象はなく、むしろ柔らか味がありメロディにも親しみを感じる。
　タイトで変拍子の得意なドラムが魅力的。ギターは弾きまくることなく、タメを利かせるタイプ。時々ザクザクとしたリフが聴かれるが、全体的にはメタル色は少ない。DTのような押し切るようなドラマチックさは無いが、じんわりと盛り上がるような感じ・・・あ、ちょっとMARILLIONみたいな部分もあるな。SEも多いし。

　最初地味かなと思ったけど、聴き込むとけっこういいです。メロディはポップではないが、何度か聴くと忘れられない旋律。１曲目なんか特にそう。さすが北欧。スケール感も有りタイトでもあり。

BLACK MARCK PRODUCTION BMCD127 ('98)