複雑変拍子を得意とするシアター系イタリアン・メタル
ごく初期のDREAM THEATERを思い起こさせるようなパワー・メタル展開に、どこか屈折した音楽性・・・・RUSHのような奇異な変拍子展開などを足しこんだような、複雑な展開。ある意味典型的なイタリアン・メタルの音と言える。ほんのちょっとアヴァンな雰囲気も足しこまれている。
スピード感はあるし、曲ごとに様々なギミックなりの工夫があるんだけど、どうも途中から単調になってしまう傾向がある。例えば、アルバムの冒頭はＳＥから曲が始まり、一旦、カセットから拾ったようなブーミーなドラム・サウンドになったかと思うと、疾走メタルサウンドに変貌する、みたいな実に巧みな演出をやってのける。だけど、その後がどうも一本調子のパワーメタルなんだよな。他の曲もそう。聴き手の予想を裏切って、いきなりアコースティック・ギターで始めてみたり・・・つかみはいいんだけどなあ。
そんななかでも３曲目Pirates Of 122（どーゆー意味だ？）はイタリア得意の湿っぽいシンフォ・メタルになっていて、これはなかなかの出来。チェンバー・サウンドを取り入れたりして、最後まで気が抜けない面白さがある。同様に、６曲目A Land Beyond The Gateも耳慣れぬ変拍子展開が不思議な雰囲気をもたらしている個性的なメタル。このあたりの展開はイタリアンが最も得意とする部分かと思う。惜しむらくは、もっとこんなタイプの曲を増やしてくれていれば・・
いろんな試みをしてるのは買えるんだけど・・・個人的には、メロディがイマイチなのと、懲り方が中途半端だったのが減点。どーせやるなら徹底してクチャクチャになるまでいろんなものを持ってきて欲しかったような。アルバム冒頭で期待してしまった分、どうも欲求不満になってしまうわなー 残念。メロディよりも方法論だけで楽しめる人には面白いかもしれない作品。