YWIS

YWIS

歌はイマイチだけどインストは聴かせるＢ級ポンプ

　SI MUSICからリリースされたオランダのシンフォ・ポップ。ギターを中心とした５人組のポンプ系ハード。

　哀愁メロ・・・ってか、情念に訴える旋律です。まとわりつくような雰囲気は演歌的ですらあります。言い方は悪いですが、んまあ、クサいかなと。メロディ・ラインもとりたたて評価するべきものもないような。
　曲展開は８０年代のポンプ系にありがちなもので、正直なところ凡庸。ハードロック 調もあるけど、どうも安っぽい歌謡曲を聴いているような気分になってしまうのよね。これ は、ボーカルの下手さとバックの演奏が単調なことが原因かと。
　ただ、それはあくまで歌部分のこと。インスト部分の演奏は悪くありません。GENESIS亜流にありがちな、厚めのシンセをバックに泣きのギターが効いた典型的な哀愁ポンプ。言っちゃなんだけど、歌が無ければ無いほど曲の印象は良いぞ。
　そういった意味で演奏の部分部分は結構聴かせせるんですよね。でも、いかんせんア ルバムの多くを占める歌部分がダメダメで・・・その弱さのせいで、熱烈なポンプファンの人以 外にはあまりオススメできる作品とは言えません。

　バンドはこのアルバムを残して一旦解散、その後再結成されてアルバムLeonaldo's Dreamを発表しています。

SI MUSIC / ZERO XRCN-1097 ('83/'94)

Leonaldo's Dream

４曲目だけが非常に良い

　SI MUSICからリリース。１０年ぶりの２枚目。

　メロディが歌謡曲的で安っぽい印象であるのは前作同様。単調で飽きてしまう人もいることでしょう。
　ですが、４曲目On My Ownだけは突出して良い出来なんですよ。ポンプ特有の琴線メロで、モダン・シンフォに泣きのギター。終盤の２分が生ピアノによる物悲しいインストでこれがまた雰囲気がいい。バイオリンも参加。いやー　もう、泣き泣きで雰囲気メッチャいいです。

　アルバム全体のお話に戻ると、前作とそう変わって無いんですよ。歌部分がイマイチで、インスト部分は一転していい雰囲気・・てのも変わって無い。シンフォニックなキーボードが活躍し、それを駆け抜けるようなギタープレイが素晴らしいです。ギターはちょっとRUSHのAlex Lifesonに似た音色。野太いボーカルは好き嫌いが分かれるところ。
　全体的にかなりポップでありもはやプログレとは呼べないかもしれないが、泣きのギターは一聴の価値があります。

SI MUSIC/ROADRUNNER/APOLLON APCY-8262 ('95)