ケルトにアフリカさらには西アジアの音楽を取り込んだワールド・フュージョン。すでに多くの作品がリリースされていますが、これはそのデビュー盤。ケルトとアフリカってどんなのかと思ったのですが、さすがそこはどこにでも溶け込む音楽。なにせ、ケルトは英国からフランスに渡り、さらにカナダのフランス語圏にも広く根付いてるわけですから。で、フランスといえば異文化が交差する国、古くからアフリカに進出していたわけですから、ケルトとアフリカ音楽が合わないわけがありません（かなり強引）。というわけで今回もまるっきりシームレスと言っていいでしょう。ケルトの持つ哀愁や強い情念と、アフリカン・ビートの躍動感がうまく合致、さらにハウスビートがスピード感を与えています。
１曲目Saor/Free/News from Nowhereは厳かなケルトで始まりそのままアフリカのリズムが重なるのですが違和感まるでなし。ハウスビートを極力抑え、悲哀を漂わせた美しい曲になってます。
２曲目Whirl-Y-Reel 1は一転して打ち込みでアフリカン・リズム。激しいビートにスリリングなケルトが合体。どっかで聴いたなあ・・と思い当たったのがDAO DEZI。あちらもケルト＋アフリカンでしたものね。しっとりしたDAO DEZIって感じ。
４曲目Sure-As-Not/Sure-As-Knotは弦楽器（？）の透明な響きが美しい涼しげな曲です。美しい旋律、ゆるやかななう練り・・・Vangelisの近作にも似た感じ。
５曲目Nu Cead Againn Dul Abhaile/We Cannot Go...はケルトともアフリカンとも違う感触。切ない旋律と硬い打ち込みリズムとのギャップがおもしろい。
６曲目Dark Moon, High Tideは本来のケルトに近い音。リズムがアフリカで、これが妙に和みます。
７曲目Whirl-Y-Reel 2は２曲目の続き。ハウス・ビートを前面にフィーチャーし、トリップ感のある曲になってます。スリリングな展開に眩暈がします。DAO DEZIみたい。
いいですね、これは。スリリングなトリップ感あり、ケルトの哀愁ありとワールド・フュージョンが好きな人にはかなり贅沢な内容です。DAO DEZIやTYAが好きな人には面白いと思います。
Peter GabrielのReal World Musicレーベルからのリリースです。他にもアルバムが５枚リリースされているようです。残りも是非聴いてみたい！