Jeff BeckやAOR寄りのポップな作品 豪華なゲストにも注目
Jeff Berlin & Vox Humana名義のソロ/リーダー作品。ジャズやフュージョンのスタイルは前面には出さず、あくまでロック寄りなものが大半。ハイレベルなフュージョン/ジャズ奏法のベースにかっこいいインスト・ロックが乗っているという感じかな。Jeff Beckに通じるようなエネルギーとスリリングさがあり、なおかつどこか気品を感じさせる楽曲群。
共演するメンバーも凄い。ギターにScott HendersonとNeal Schon、ドラムスはSteve SmithとNeil Peart、キーボードはT.LavitzとClare Ficsherら。そしてプロデュースはRonnie Montrose。
1曲目 Mother Love
冒頭のこの曲が一番ジャズ寄り。優美なギターワークに一瞬BRUFORDを垣間見るような思い。一転して、終盤はポップなノリになっていてまるでSQUERE風。
2曲目 20,000 Prayers
スリリングなベースを主体としたテクニカルなフュージョン。技巧派ベーシストJeff Berlinを堪能できる。BRUFORDのあの緊張感を求める人にはぴったり。でも、ジャズ色が強いのはこの曲まで。
3曲目 Marabi
デキシー風のジャズ。時折ハードロック展開になりその落差が面白い。華麗なギターワークの後ろから聴こえてくるBerlinの多彩な技が楽しい。
4曲目 Subway Music
Neal Shoneのハードなギターが冴えるロックナンバー。Jeff Beckをゴージャスにしたような作風。流れるようなギター、リズムが痛快。Berlin自身のヴォーカル入り。
6曲目 Dixie
誰もが知っているスタンダードナンバー。本来軽快な曲を、ベース1本でジェントリ−に仕上げている。
7曲目 What I Know
ベースが前面に出ている。リードを取るベースは優しく、深い音色。Hendersonの表情豊かなギターとともに琴線に触れる曲を練り上げていく。
8曲目 Champions
AORタイプの軽快なヴォーカル曲。流れるようなポップなメロディラインに、時折フュージョンが顔を出す。MAXUSに近いかも。中間部に設けられたキーボード・ソロは秀逸。
意外とポップ/ロック色が強い。メロディアスな1曲目、緊張感のある2曲目を除いては、ジャズやBRUFORD系の音を期待する人には肩透かしかもしれない。
ポップ/ロック寄りの作風へ ボーカル曲も収録
元BRUFORDの超絶ベーシストの2枚目のリーダー作品は、フュージョン色が大きく後退、ロック寄りの作風になった。ボーカル入りの曲もある。BRUFORDでの演奏から連想
される技巧派ベーシストの面影はここでは感じられない。むしろアメリカ風のメロ
ディで時にブルージィな雰囲気・・という点でDEXIE DREGSに近いインスト・ロックと言
えるかも。
1曲目Pump Itは冒頭がスリリングなベースとドラム。スピーディなフュージョンが
始まるのかと思わせて、ファンキーな歌ものに流れ込む。
2曲目Joe FrazierはBRUFORDにも収録された曲。こっちのほうが洗練されたフュージ
ョンという雰囲気に仕上がっている。
3曲目All The Greatsはキャッチーなメロディのギターが主導するインスト・ロック
。目の覚めるような明るい曲調が特徴。3分20秒あたりからのキーボード・ソロから
始まる部分が個人的には好き。この部分はDEXIE DREGS風の展開。
5曲目Crossroadsも歌入り。軽快に展開されるブルージィな曲。南部色が色濃いブル
ーズをタテノリでサクサク展開したような面白い曲。歌心満載のベース・ソロがふんだ
んに出てくるのが嬉しい。
6曲目Freight Train Shuffleはファンキーなギターとキーボード主体の軽快な曲。
ノリの良いフュージョン・サウンド。開始3分後あたりと4分後に現れるキーボード・
ソロがかっこいい。
7曲目のManos De Piedraは技巧派ベーシストの面目躍如たるテクニカルなフュージ
ョン。スピーディでドラマチックな曲がかっこいい。荘厳で貫禄のある音だ。BRUFORDファンの待ってたベースソロがここでよう
やく聞ける。しびれまっせ。
陽気な楽曲がずらりと並ぶ。予想以上にポップなのは評価の分かれるところ。実際こ
の作品が好きという人は多いんですけどね・・・えー テクニカルなのを求めて購入し
たBRUFORDファンは、怒涛の技巧派フュージョン作品である最後の曲で溜飲を下げてく
ださい。