SAGAのギタリストによるソロ・プロジェクト。９０年代前半のSAGAで聴かれたようなヘヴィネス系に通じる音とも言える。このSAGAというバンド、ファンキーでコマーシャルなメロディとスリリングなプログレ・ハードの合体したような音だったのだけど、GENERATION 13で突如としてメタルっぽい音へ路線変更した経緯がある。このSAGAの突然の変貌はやはりIan Crichtonが犯人だったか。
硬質なギターをフィーチャリングしたモダンヘヴィネス系の曲が中心。だが、ダラダラした雰囲気は皆無で、音はタイトでキレがあるし、スピード感があってキビキビと展開していくあたりは好感が持てる。SAGAのPlesere And The Painをもっとソリッドかつシンプルにしたような感じ。ヴォーカリストがいい。ラウドで野性味溢れる声の持ち主で、彼が曲の表情を多彩にしている。
アルバム前半はソリッドなヘヴィネスが中心だが、７／８拍子展開の６曲目Dangerous Timeは、カチッとしたヘヴィサウンドでスリリングな曲をやっているというあたりが新鮮。シンプルな７曲目Revelationsはヴォーカル以上に饒舌なギターがフィーチャリングされているのが嬉しい。９曲目Innocence Of Seasonはメロディが良いし、緩急を生かした展開が良い。このあたりまで聴いて来ると、聴き手にとってもはやヘヴィネスへのこだわりは消えていることだろう。
これって、場合によっちゃあ通常のマーケットで十分売れる内容かもしれない。
軽やかで曲を縦横無尽に飛び回るようなギターを弾いていたかつての彼と比べると演奏はおとなしいし、バンドの音は重厚でやや重苦しく感じられる。むしろかつてのSAGAでやっていた奏法をできるだけ封印し、別の自分を確立しようとしているようにもとれる。でも時折聴かれる跳ねるようなギターはやはり快感。やはりこういう音にCrichtonの個性を感じてしまうのだけど。