知る人ぞ知るセルビア出身のプログレ・メタルALOGIA。そのギタリストSrdjan Brankovicのプロジェクト。いや、恐れ入りました。凄くいいです。旋律の良さ、楽曲のインパクト、演奏力、エンタメ性どれをとっても飛びぬけています。ALOGIAもいいバンドですが、この派手さはなんだろ。QUEENを１．５倍速にしたようなドラマチックな展開、メロディック・ハードのファンに強くアピールするポジティブで明快な旋律、ギター・キッズの喜ぶハードロック・ギターが主導する楽曲、ゲスト・ボーカルの力強い歌声、女性ボーカルや鍵盤も効果的にフィーチャーしたカラフルなサウンド・・・
QUEENがキャッチーなハードロックをやったような１曲目Asunder Heartsでノックアウトです。旋律もいいし、ギターのフレーズも強烈。女性ボーカルの使い方もニクいです。
いきなり目の回るようなハイテク・ギターで始まり、フュージョンとメロスピが合体したような展開の２曲目Fading Images。高速で回る万華鏡のようにクルクルと曲が展開します。この弾けるような演奏が心地よいのですねえ。
３曲目Self Abstractは変拍子を交えDREAM THEATERバリのダーク＆スリリングな展開に。メドレー構成で続く４曲目Into The Halls Of Eternityはファンタジーなシンフォ・メタル。天上のような優美な旋律とハードなギターが交錯するのが面白い。さらにメドレーで続く５曲目Flight With The Mindは一転してへヴィなインストへ。初期SHADOW GALLERY風です。これがまたドラマチック・・鬼気迫るギターが聞きものです。続く６曲目The Awakeningは再び歌をフィーチャー。女性ボーカルの丸みを帯びた歌声で実にいい雰囲気に。ムーディーです。
７曲目Move Onは８０年代のメロディック・ハード風。ヒットチャート番組で流れてそうな産業ロック風です。STARSHIPがプログレ・ハードしたらこんな感じ？
９曲目Not Too LateはJOURNEYの旋律にRUSHの構成？ いい曲です。
１０曲目Reach For The Lightはプログレ・メタルなインストから、へヴィなメタルへ突入。
１１曲目It Needs A Happy Endは最後を飾るべく、キャッチーな産業ロック風。しかし、ちょっとした音の処理や曲展開にプログレをそこはかとなく感じます。まるでBON JOVIをAlan Parsonsがプロデュースするような感じ。さらに、アルバムのおさらいをするように、弾けるようなギターや劇的なプログレ展開も顔をのぞかせます。
ギタリストのプロジェクトで、劇的なプログレ・メタル構成・・というとAYREONが代表ですが、どんどん複雑に難解に進化していったAYREONとは対照的な音。ドラマチックだけど明快な旋律、テクニカルだけど産業ロック並みにシンプルに聞こえ、明るく開放的なのが好感持てます。Srdjan Brankovic・・新たな個性が登場ですね・・・名前を覚えることにします。
いいですね、これ。まさに痛快。プログレも産業ロック系も好きな僕には実に楽しい音でした。ALOGIAが裾野の広い音楽性を持っていたのは知っていましたが、さまざまな要素を自分のスタイルに取り込むことを普段からやってきたのでしょうね。