HOLDING PATTERN

Holding Pattern

GENESIS ＋ HAPPY THE MAN　ハケット似のギター

　Tony Spadaが在籍していたシンフォ・バンド。唯一の作品がこれ。Steve Hackett風のギター、７０年代シンフォの影響色濃いキーボード、YESやGENESISを髣髴とさせる屈強リズム隊。
　サウンド的には、５人組GENESIS風叙情派シンフォ風の曲、さらにHAPPY THE MANタイプのジャズロック風の曲もやってます。古ぼけたような優しい音色はENGLANDにも似ています。アルバムは４曲入りで全曲インスト。
　時代がまったく特定できないような懐かしい音色を持つシンフォ作品。

１曲目 Another Point Of View
　叙情派シンフォ風ではかなげに始まるが、あれよあれよと言う間に屈強なジャズロックに。それでいて音は懐古的なシンフォ然としているのが面白い。デビュー当時のYESにも似てます。
２曲目 Honor Before Glory
　情感豊かな佳作。ギターのTony SpadaがMario Millo風の奏法で泣きのギターをやってます。キーボードもいい味出してます。浸れます。SEBASTIAN HARDIEの好きな人にはぴったし。Steve Hackettにも似てますね。
　３、４曲目はHAPPY THE MAN風。部分的にはMAHAVISHNU ORCHESTRA風でもあります。シリアス且つダークな音色はアルバム前半とはまったく異なります。

('81)

Breaking The Silence

満を持してあのプロジェクトが再結集！

　前作から１０年以上の時を経て、遂に２枚目が出ました。数年前から録音中とウワサされていたのにもかかわらず音沙汰もなくなっていたので、２枚目の登場を諦めていた人も多いのではないでしょうか。
　さて、ギタリストTony Spadaのソロ作The Human Emenetを聴けば明らかですが、Steve Morse風とSteve Hackett風の二通りの演奏が出来ます。つまり、目の覚めるようなギターで切れのいいハードロックと、ウェットで幻想的なギターでシンフォニックを作り上げるという隔たりのある芸風。

　１曲目Flying ColorはDEXIE DREGSかSteve Morse Bandかというかっこ良さ。ギターはもちろん、キーボードのフレーズも初期DEXIE DREGSを彷彿とさせます。
　２曲目Breaking The Silenceは旋律がいいです。情感豊かでドラマチックなハードロック。PRISM風です。中間の鍵盤ソロがいいですね。これぞプログレと称えたくなるKeith Emerson風のシンセ、そしてバックにはメロトロン・・たまりません。
　３曲目Fish BulbはSteve Morse Band風の豪快な曲ですが、中間部の長い鍵盤ソロが素晴らしい。Keith Emersonか奥本亮かと。
　５曲目Out The Otherは冒頭から走り出すような爽快さ。曲の持つさわやかさではアルバムでイチバン。音が走っています。７曲目Blasterも音の走ってるSteve Morseって感じです。
　ラスト８曲目Honor Before GloryはSteve Hackett風。アルバムの最後を飾るにふさわしい物悲しい曲調。

　前作よりもメリハリの鮮やかな曲ばかりです。ハードロックよりになってファンには賛否両論あるでしょうが、私はこちらのほうが好きです。バンドの掛け持ちで忙しく、また企画モノに参加している最近のSteve Morseよりも、こちらのほうがSteve Morseらしいくらい。

Tony Spada ('07)