SURVIVORの黄金第２期を支えたボーカリスト。そのソロ作です。Dave Bicklerが歌うEye Of The Tigerで大ブレイク、しかしその後はいい曲を作っているものの大したヒットには恵まれず、一発屋かと思われたSURVIVOR。その巻き返しとして、メロディック・メタルバンドのCOBRAからJamisonが加入。前任に似たタイプながらもパワフルで深みのある声で注目を集め、SURVIVORは再びシーンの最前線に復帰。８４年にリリースしたVital Signsがバンド史最大のヒット作になりました。
で、このソロ作は８８年にバンドが長い休止に入った際にリリースされ、彼には２作目（SURVIVOR加入後初めて）になるのですが、もうSURVIVORそっくり。敢えて言うなら多少ＡＯＲを削ってハードロック寄りにした感じ。メロディアスながらも無骨な感触は、初期のSURVIVORにも共通する音。SURVIVORのファンを狙いつつ、ハード／メタルなJamison自身の資質も満たした作品です。
後から知ったんですが、SURVIVORに似てるはず。彼はリリース直後はこのアルバムをJimi Jamison's SURVIVOR名義で出していたのでした。詳しいことは存じませんが、裁判とか契約とかプロモーターの都合とか・・んまあ、大人の事情とやらがあったよう。で、現在はソロ扱いされているわけです。
ですが、SURVIVOR名義であろうとなかろうと、このアルバムは十分に素晴らしいと断言できます。中音域から高温までの無理のない伸びやかな声、タメの効いた歌唱力。そんでもって自身で美しい旋律の曲も書くわ、演奏もSURVIVOR並みのハード＆ポップだわで実にゴージャスです。ハードながらも本家SURVIVORやDaryl Hallのような洗練された旋律がたくさんあります。
SURVIVORタイプの明るい１曲目Cry Tough、柔らかなポップの３曲目I'm Always Here、ドラマチックなハードＡＯＲの４曲目Empires、ゴージャスな演奏にメロディック・ハードの王道を行くような５曲目First Day of Love、SURVIVOR風のハード＆哀愁メロの６曲目Have Mercyと１１曲目Calling America、ハードな曲のなかにこそ美しさの映えるバラード７曲目Just Beyond the Cloudsと１０曲目November Rain、FOREIGNER風の８曲目A Dream Too Far。いやあ、いい曲目白押し。
SURVIVOR名義のツアーで歌ったと思われるBurning Heartのライブ音源がボーナストラックに収められています。