ギターの鉄人二人による超絶インスト作品
Greg HoweとRitchie Kotzenによるインスト作品。サウンド的には、フュージョンとハードロックの中間くらい。これがもう、テクニカル＆プログレッシブで実に素晴らしい。KotzenはThe Inner Galactic Fusion Experienceという素晴らしい技巧派フュージョン作品を残していますが、甲乙付けがたい出来栄えです。
メロディラインはわかりやすいものばかり。スタイルは様々で、ストレートなハードロック、ブルーズ、典型的なフュージョン、ファンキー・・それらを土台に二本の超絶ギターが交互にリードを取りながら進行します。パートがキレイに分けられているんですが、二人は別々に録音したそうです。
ベースも自分たちで演奏しています。他のメンバーにはドラムスとキーボードが参加。Kotzenは１曲ボーカルも録ってます。
どの曲も素晴らしいんですがラスト３曲がかなりおすすめ。私個人としては名曲入りです。
７曲目Seventh PlaceはAllan Holdsworth風フュージョン。複雑な変拍子を挟みつつも、流麗なウネリのあるギターはさすがです。BRUFORDに初期UKの緊張感を加え、さらにスピードアップしたようなつくりです。驚きです。
８曲目O.D.はその名のとおりオーバードライブな演奏。濃密な演奏を、許容量を越えて押し込んだみたいな。畳み掛けるような複雑なリズム、手数の多い演奏、明るいメロディと躍動感のあるフレーズ・・これはいいですね。アルバムで一番好きな曲です。「聴いてて耳が嬉しい」と表現すればいいのか・・思わず、身体中が複雑リズムに合わせて動き出すような(笑) 技巧派ファンの脳内には快楽物質が出まくりでしょう。大音量で聴いてたら悶絶してしまいそうでした。
９曲目Full Viewはさらにパワーアップ。ドラムも強力、そしてピアノも加わってのハイテンション！ うねりまくりーの、速弾きしまくりーの。
メタルとフュージョンの融合的な作品って最近増えましたよね。私もうれしい限りなのですが、そんな数多の作品群にあっても、９５年にリリースされた本作はスバ抜けてすばらしい。演奏は複雑なんだけど、難しさがないんですよね、聞いてて。からっと抜けるような明るい旋律と、キレのいい演奏のおかげでしょう。
Steve Vai、PROJECT Xが好きな人にはたまらないでしょうね。私なんかもう完全に打ちのめされました。名作です。
コアに進んだ２枚目 やりすぎか・・
２作目。前作はインスト・ロックに技巧派フュージョンの中間をいくような作風で、テク良し、メロディ良しのバランスが取れた構成でした。本作はそこからさらに一歩踏み込んで、この二人でしかできないような新規なものを目指したみたい。その出来栄えはよく言えば「野心的」、悪く言えば「やりすぎ」感があるんですよね。つまり、統一感のあった前作よりもゴツゴツした、粗い感じ。
もちろん、テクニックは申し分なし。一方メロディは一歩後退。とにかくアイデアを持ち寄って、ぶつけ合って、録音してみて・・という緊張感を感じさせます。そりゃ、天才二人、同じことを続けるのはいやでしょうねえ。
前作よりもマニアック。二人のファンやギター好きには面白いでしょうけど、テクニカル＆メロディアスを好む当サイトとしてはイマイチのめり込めないアルバムでありました。正直、各々のソロ作のほうが面白いですわ。これ、結論。
でもでも、そんななかでも３曲目Present-Momentはテクニカル＆ロディアスな傑作です。明るいメロディと白熱した演奏がぎっしり詰まって、冒頭から最後までワクワクするよな緊張感です。かっこいい。
７曲目Led BootsはMahavishnu Orchestraをメタル・フュージョンで再現したようなかっこよさです。
後半はエレクトリック志向の、やたらとシャリシャリした音がどうにも苦手。それ以外も、いろいろ探ってますねって感じで、前作ほどのクオリティではないです。マジックはもう作用しないのかな？
３作目を作ったらまた変わるのかもしれませんけどね。