イタリア屈指のシンフォニック／パワー。メタル界ではいまやイタリアンは立派に市民権を得ていますが、その最大の功労者ですね。ドコドコというリズムが今となっては時代を感じさせますが。メロディックでヒネリの効いたソロが光る二本のギターが印象的です。従来のイタリアのバンドと違って、ソリッドで盤石な音作り。まったく不安がありません。プログレッシヴな雰囲気を持ち込み心地よい緊張感を作り出しています。プログレとして聴くのは無理があるかもしれませんが。
手垢にまみれたパワーメタルとは違って、キレの良さと新鮮な躍動感をメタル門外漢である僕も感じました。とりわけ、２曲目Midnight Resistanceは変拍子をうまく使っているし、タイトル曲７曲目No Limitsは、メロディック･パワーとしての特質を生かしつつ、複雑なアレンジに成功。この２曲は聴きものですね。また、５曲目Vertigoはテクノとの融合。これもおもしろい。１３曲目Miles Awayはメロディの良さもさることながら、曲の随所に配置されたギミックにも思わずにやりとしてしまう。
ギターがいいソロを弾いているんですよ。この手のバンドにありがちな、テクニカル・オタクでもないしネオ・クラシカル一辺倒でもない。メロディを大切にしながらも強烈な印象を残すソロ。また、キーボードも個性的な音色を持っているのでインスト部分は充実。
プログレとして聴くことはできないので純正プログレ・ファンには勧めませんが、９０年代半ばのイタリアン・メタルとしては名作のひとつでしょう。パワーメタルをイタリアらしい（当時の）新しい解釈でやっていくぞ、という気概っていいますか・・そんなのが曲の端々で感じ取ることができます。さすがイタリアン・メタルの功労者。
ATHENAでも活躍したヴォーカリストJoe Terryが参加しています。