元DREAMSCAPEのボーカルのソロ・プロジェクト。ギターにMarcel Coenen(LEMUR VOICE, SUN CAGED)、ドラムスはDaniel Flores(MIND'S EYE)が参加。メタルとシンフォニックを合体させ、AYREONバリの壮大な世界観と幻想的な作風を持った作品。AYREONが宇宙やSFなら、こちらはテーマが海。詳しくは見てませんが、歌詞は哲学的な領域にまで踏み込んでいる模様。
参加メンバーの演奏力は申し分なし。特にMarcel Coenenの演奏は素晴らしいです。時に伸びやか、また時には囁くようなボーカルでファンタジックな楽曲を纏め上げています。構成要素にRUSHやAYREONを感じさせる抒情詩と言えばよいかと思います。
静と動をまく使い分けてますね。静寂を中心としながら大きなうねりをドラマチックに盛り上げ、そして時折ハードでメタリックな展開をどーんと持ってくる。メロディと情感ふたかなボーカルは、まるで海面の波が刻々と変わるようにその表情を変えていくかのようです。表情の豊かさではこれまでのメタルの枠を超えていると言えそうです。
で、聴き終えたところでイマイチ充実感がない。うーん？ 聴きながら感じたことは上述のとおりすばらしいものだったのですが、アルバム通して聴くとちょっと散漫かなあと。展開が沈滞気味なところもあるし。アルバムを半分づつ聴くとちょうどいいくらい。広がり感のある壮大な演奏も、求心力のある彼のボーカルでなかったら、俄然つまらないものになってたような気も。でも向上心の高い彼のことですから、次作はかなりのものになることでしょう。
メタルの枠を超えた壮大なコンセプトものが好きな人にはオススメです。AYREON、ASCENSION THEORYタイプ。