SPOCK'S BEARDのギタリストのソロ作品。マルチ・ミュージシャンである彼のこと、ありがちな器用貧乏な作品になっているのではと心配しましたが、そんなではありません。ギター・インスト一本に絞ってきました。フュージョン要素の強い、陽性サウンドです。SPOCK'S BEARDやシンフォニックとはかけ離れた作風で驚きました。そして、予想以上に技巧派ですね。ちょうどSteve MorseやEric Johnsonを髣髴とさせる音です。曲によってはバラード、ブルース、ファンクもあります。フュージョン・ファンとしてのベストトラックはまず１曲目Cold Fusion。ハード・ロックとフュージョンの中間を行くような感じ。ＬＡ風ごきげんフュージョンです。オルガンは奥本亮でしょうか、渋いです。２曲目Return To WhateverはJerry Goodmanのバイオリンとのバトルが聴けるジャズ・ロック。５曲目First Funkは全然ファンクじゃなくて、泣きのギターをフィーチャリングした哀愁バラードです。メロディの美しさではこの曲が一番かな。
７曲目The Rite Of LeftはJoe Satriani風の速弾きです。ギターを最もフィーチャリングした曲です。楽しそうに演奏している姿が目に浮かびますよ。ファンキーな８曲目Chromaは完璧にベテラン・ギタリストの風格です。ラストの１２曲目Homeは郷愁溢れるアメリカンなメロディ。私はSteve Morseを連想しましたが。
よくありますよね、普段はセッション・ワークやっているギタリストが、渾身のギター・アルバム作るってやつ・・・まさにあんな雰囲気なんです。楽しい曲がたくさん収録されてますが、おそらく本人が「ソロとしてのギタリスト」を最も楽しんでいることでしょう。Steve LukatherやSteve Morseなどのギター作品を集めてる人には十分楽しめるはずです。
ただオリジナル性という意味ではまだまだかなあ。Steve MorseやEric Johnsonの亜流と言っちゃうと言葉悪いんですけど。あるいは琴線メロディが収録されているとかしたらね・・うーん、惜しい。突き抜けた作品を次に期待です。