ソロやプロジェクトに膨大な作品があるMAGMA人脈の１枚。
たたみ掛けるような展開、どのバンドとも似ていない個性的な演奏、知的に入り組んだ構成・・・このアルバムはMAGMAの方法論を受け継ぎながらも、ジェントリーに仕上げたような感じ。MAGMA独特の歌唱や難解な演奏はここにはありません。鋭角的な音といえばいいのかなあ・・MAGMAにも感じるカリカリとした緊張感だけが健在。個人的にはわかりやすい曲をやっているMAGMAが好きな私としては、お気に入りの１枚だったりします。なんと言っても４２分にわたる大作の１曲目Masalに尽きます。長々と続くイントロ部分はアヴァンタイプなMAGMA風で、アヴァン系が苦手な僕はいやーな予感をしたのだけど、その後はどんどん流れが太くなって開始８分過ぎになってようやく音が走り始める。ここから後はもう痛快痛快。複雑なリズムと秀逸なメロディが交錯し、２，３分を一つの単位にして短いパートをつないでいく構成。その後追い立てるようなリズム展開あり、サックス入りの穏やかなパートあり、切れ味鋭いフュージョン・ギターあり、ゴージャスなブラスありといろいろ詰め合わせた壮大なジャズ・ロック組曲。中間部は穏やかでヒーリングミュージックのような優しさすら感じます。後半はポップからシンフォニックまで登場する。いや、曲の構成自体がまるでシンフォニックの大作のよう。
他に収録されている曲は気品を感じさせる流麗な響き。これも聞き逃せない。いいなあ、これ。メロディも秀逸だし、ゆったり、じっくり聴きたい作品。
Jean-Paul PratがMasal名義で出したジャズロック作品です。