SAGA在籍中に出したソロ（ネットを中心にごくわずかが配布されただけだった）に、新曲を加えて再リリースされたものです。彼のポップ・センスが全開です。プログレ・ハードからアダルト・コンテンポラリーまで、彼のボーカルが映えます。
１曲目 Who's Sorry Now
SAGAのオープニングにありそうなＳＥで始まります。しかし、打ち込みリズムがSAGAとは違う音だと言うことを教えてくれます。エレ・ポップ風の演奏にソウルフルなボーカルが映えます。この朗々とした歌唱は他に聴けませんね。
４曲目 I'm Not the Enemy
SAGAにエレポップを足しこんだような感じ。アルバムのハイライトのひとつ。
６曲目 Lonely
こっちはSAGAにありそうな曲です。タテノリ・リズムとＳＦチックな雰囲気。サビでがらっと曲調が変わるとこなんかすごく好きです。
７曲目 One Minute
これも３人組SAGAでありそうな曲。タテノリでポジティブな曲調です。
８曲目 In the Name of Love
アダルト・コンテンポラリー調です。TOTOで言えばI'll Be Over Youみたいな曲です。彼の声、こういうのぴったりですね、やはり。すごくいいんですよ。大人の恋を歌うには実にハマってます。しびれますね。SAGAではありえない取り合わせですけどね。
９曲目 One Heart
ドラマチックなポップです。シンフォニックな要素もとりいれて壮大な作風となってます。ギターの伸びやかなソロも素晴らしいです。
いやあ、これはハイレベルですね。プログレとしては弱いけど、ポップ作品としてはかなりのものですよ。もちろん、プログレ要素もそこはかとなく見え隠れしてますし、SAGAのファン、TOTOもファンには面白いこと間違いなし。プログレ・ポップかつての３人SAGA時代を思わせる展開もあるのですが、もっと自由にやってるなというのがわかります。あくまでSadlerらしいポップ志向にうまくプログレのエッセンスを取り込んだ作風、あいも変わらずソウルフルな歌唱。しかもすべてがうまくコントロールされています。ソロにありがちな欲求不満解消作品ではありません。
あくまで個人的な意見ですが、音楽的な同じところをぐるぐる回りだした感のある最近のSAGAよりも、ずっと魅力的です。ポップ作品としてもスリリングな作風もSAGAを凌駕していると思いました。
その後、ソロとしてSAGAの脱退を決意するわけですが、この作風ではさもありなんという気持ちになりました。いえ、今の私はソロアーチストMichael Sadlerの新作を早く聞きたいと思ってます。