シンフォバンドARRAKEENやMUSEA関連のジャズセッションに参加した経験を持つ技巧派ギタリストのソロアルバム。全曲インスト。ポンプに通じるメロディアスなシンフォに、トリッキーなギターテクニックが光る。
メロディアスなフレーズが連なっているが、楽曲としてのつくりは凝っている。分かりやすいフレーズが多い。が、それが次々と変化していく。まるで曲の途中で表情ががらっと変わるかのよう。一聴は分かりやすい展開。でも、実はたくさんのギタースタイルをえいっと凝縮して持ち込んだ、といのが彼のスタイルのよう。また、変拍子や転調を多用。ヒネリがたくさん用意されていて変拍子ファンには面白いと思う。
楽曲の雰囲気は、そうですねえ・・シンセ多用のメロディアス・シンフォとテクニカル・フュージョンの間を行ったり来たりするような感じか。変化に富んでいる曲展開のおかげで凡庸さは皆無。さらに、フランスらしく欧州浪漫をそこはかとなく感じさせるあたりは、MINIMUM VITAL＋ハードロックという印象。
ギターはハード・ロック、ネオクラシカル、フュージョン、メタル、そしてアコースティックまで幅広い。概してハードなスタイルが多く、Steve Vaiのようにハードロック系のギタリストがソロプロジェクトでやるようなフュージョン作品にも近い。が、凝りに凝ったこの作品、プログレッシヴへの思い入れは相当のもののようだ。Steve VaiやEric Johnsonの欧州版という印象もある。
ただ、聴き終えた後にイマイチ印象が弱いのは、似た曲が多いことと、そつなくまとめられ過ぎているせいかな。個人的な好みからいえばもうちょっとジャズ展開が聴きたいところ。
最近多いメタルとフュージョンの融合的な作品のひとつと言ってもいい。技巧派フュージョンのファンだけでなく、テクニカル系を好むメタルファンにもおすすめ。