テクニシャンCyril Achardが今度はプログレメタルのプロジェクトを結成。MAGNA CARTAレーベルのようなソリッドでスリリングな作品になっています。名手Tony MacAlpineがなんとキーボード奏者として参加。DREAM THEATERやMAGELLANのような、変拍子展開でたたみ掛けるようなインストパートが魅力的。歌パートは比較的多いが、インスト部分での鬼気迫る攻防が素晴らしく、完璧にプログレファン向きです。ギター・ヒーローAchardのソロパートも聴き応え十分。
反面、メロディがイマイチ。テクニカル志向のインストパートがソリッドに仕上がっている半面、歌パート部分にメロディの弱さが露呈してしまう。テクニカルとメロディアスの融合を目指していたのがうかがえるだけに、もっとエモーショナルさがほしかった。そうなればバランスも良かったのに。
ネオ・プログレや、ジャズのプロジェクトに参加していたAchardの履歴を知っている人なら、少なくともテクニカルな面だけでなくフックの効いたメロディをも期待していると思うのですがね。もし、テクニカル一辺倒で押すのなら唖然とするぐらいの技巧で押して、もっと徹底した作品にして欲しい。どちらの方向であれ彼らなら出来るはず。今回はどっちつかずで中途半端。それと、どの曲も雰囲気が似ているのもマイナスです。
とは言え、構成力、演奏力ともに高品位な作品であることは違いありません。かつてメタル不毛の地であったフランスでこれだけの作品が出てくるのはやはり嬉しい。こんな表現をすると今さらと言われるかもしれないが「フランスのDREAM THEATER」的な存在と言えそう。MAGNA CARTAレーベルのメタル作品が好きな人は買って損なし・・かな。